お仕事で、鉄関係を扱う方に多く見られます。
鉄粉は目に刺さると抜けにくく、自然には取れない場合があります。
さらに、鉄がさびてきて、サビが角膜を浸食してしまいます。
サビが大量に残っていると、キズの治りが悪くなります。そこで、可能な限りサビも除去する必要があります。しかし、浸食したサビが多いほど、除去が難しくなります。
サビの浸食は早く、2.3日で広がってしまいます。
そのため、早急に鉄粉を除去する必要があります。
鉄粉が目に入り、痛みが改善しない場合は、速やかに眼科へ受診することをオススメします。
『黒いものが飛んで見える』
『髪の毛のようなものが動いて見える』
『アメーバみたいなのが見える』
などの症状を『飛蚊症』と言います。
多くの場合、自然に出てくるもので悪いものではありません。
ただし、治療法はないので、そのまま様子を見ることになります。
一方、まれに『網膜剥離』や『硝子体出血』などの病気の症状として出てくることがあります。
特に『墨汁を流したような黒い(赤い)ものが見える』などの飛蚊症の量が多い場合、これらの病気が原因となっている可能性があります。
病気が原因の場合、病気に応じた治療を要します。
特に、網膜剥離では、緊急でレーザーや手術が必要となります。
飛蚊症が自然に出たものか、病気が原因か、自覚症状で判別するのは困難です。そのため、眼科で検査をすることをお勧めします。網膜剥離の場合、緊急での対応が必要となるため、飛蚊症が出た際には、なるべく早めに受診したほうがよいです。
飛蚊症に対する検査として、目薬で瞳を開く『散瞳検査』を行います。この目薬をさすと、5時間程度見えにくくなり、車の運転や細かい字を見る作業などができなくなります。
そのため、眼科受診の際は、車やバイクではなく、徒歩や公共交通機関を利用してください。
また、目薬の効果が出るまでに時間がかかるため、当院では診療終了時刻の1時間前までの受診が必要となります。
時間には余裕をもって、お越しください。
健康診断などで、眼圧が高い(高眼圧)と指摘されることがあります。
眼圧が高いと、視神経が障害される『緑内障』になっている、もしくは、今後なりやすい恐れがあります。
眼圧はよっぽど高くない限り、自覚症状が出ません。そのため、自覚症状がなくても、眼科で精査することが望ましいです。
眼科に受診した場合、眼圧と視野検査を中心に検査を進めていきます。
眼圧は、日や時間により変動します。また、目に力が入ると、実際より高い数値がでることがあるので、注意が必要です
視野検査に異常がある場合、緑内障と診断して、緑内障治療を開始します。
視野検査に異常がない場合、眼圧が25mmHg以下であれば、経過観察となります。眼圧が25mmHg以上の数値が続くようですと、今後緑内障になる可能性が高いため、緑内障治療を開始します。
緑内障は、自覚症状が出たときには、すでにかなり進行しており、手遅れになっていることが多いため、早めに眼科へ受診することをオススメします。
視野の一部が欠けて見える・ぼやける・かすむ・黒く見える、などの症状を
『視野欠損』
と言います。
視野欠損を生じる病気は
緑内障、網膜剥離、網膜静脈分枝閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症などが疑われます。
緑内障はゆっくり進行するのに対し、他の病気は急に発症します。
数年かけて、徐々に進行する視野欠損は緑内障が疑われます。
一方、ある日突然発症した、もしくは数日単位で急に進行する視野欠損はその他の病気を疑います。
しかし、緑内障は自覚症状が出にくいため、ある日突然視野欠損に気が付く、という人も意外と多いです。
そのため、症状だけで病気の鑑別をすることは困難です。
診察で、眼底検査などを行えば、診断は比較的容易なことが多いです。
治療は、それぞれの病気で異なります。特に網膜剥離では緊急手術が必要となるため、注意が必要です。
視野の一部が欠けて見える、という症状が出たら、早めに眼科受診することをオススメします。
高齢者の新型コロナウイルスに対するワクチン接種が本格的に始まりました。
それに伴い
『白内障手術希望ですが、ワクチン接種してもいいですか?』
など、ワクチンと白内障手術に関する質問をよく受けます。
現時点での当院での基本的方針は、
『ワクチン接種と白内障手術は2週間以上あける』
としております。
特に2回目ワクチン後に発熱などの体調不良が起こることがあります。それに伴い、必要な診察や検査ができなくなる可能性があります。また、腕があがらなくなることがあり、点眼ができなくなる恐れもあります。
ワクチン接種後に手術をする場合、接種して1週間後に診察をして、体調などに問題がないことが確認できれば、その翌週手術は問題ないと考えます。
また、白内障手術後にワクチン接種をする場合、手術後2週間経てば、点眼や通院が困難になっても大丈夫な期間となります。
以上を踏まえて、当院では接種と手術を2週間以上空けることとしています。
ただし、ワクチンと眼に関する情報は、現時点では出ていないため、この2週間に医学的根拠はありません。そのため、今後接種が進む中で、2週間以上あけたほうがよさそうなら、期間は伸ばす可能性もあります。
すでに接種の日程が決まっている場合は、接種後に手術されるのが現実的です。
一方、接種の日程が決まっていない場合は、まずは手術と接種のどちらを優先するか、決めておく必要があります。手術が早期に必要で、接種予約がいつになるかわからないようでしたら、早めに手術を済ませてしまってもよいかもしれません。
白内障は、主に加齢性変化のため、両目ともに進行することが多いです。とはいえ、左右全く同じということは少なく、多少なりとも視力に左右差が出るものです。
白内障手術に際し、悪いほうの目だけでいいか、それとも両目とも手術したほうがいいか、というご相談をよく頂きます。
まず、両目手術のメリットですが、
・術後の左右のバランスがよい
・ピントの位置を自由に選ぶことができる
・眼鏡を早く作成できる
・検査などが一度で済む
・同じ月だと、限度額により、自己負担額が安くなる
などが挙げられます。
両目ともある程度白内障が進行している場合、いずれ両目とも手術することになるため、両目とも手術をしたほうが、メリットは大きいと考えます。
一方、片目のみ白内障が進行しているが、他目は比較的視力良好の場合は難しいところです。
白内障手術は、安全性は非常に高いものの、リスクはゼロではないため、他目の視力が良好で、まったく不便を感じていない場合は、さすがに片目のみでよいと思います。
一番悩むのが、他目もそこそこ視力低下している場合です。
その場合は、視力や度数の左右差などを考慮したうえで、片目か両目かを相談して決定します。
これは、個々人の目の状態により変わってきますので、迷ったら一度ご相談頂ければ幸いです。
手術当日は、午後1時40分までに受診していただきます。
手術の準備として、目薬とキャップの着用を行います。その後、順番で手術を行います。
手術の順番は、目の状態などから、事前にこちらで決めさせていただいております。
手術時間は、10分程度です。ただし、手術の準備と片付けがあるため、手術室での滞在時間は20分程度です。
手術後は、体調に問題がなければ会計して終了となります。
安全な準備のため、手術の方は同時刻にご来院頂いております。最後の方で、3時半頃に手術終了予定です。しかし、場合により終了時刻が遅れることがあります。
予めご了承ください。
普通免許では、矯正視力0.7以上が必要となります。
そのため、矯正視力が0.7以上出た時点で車の運転が可能となります。
白内障手術は安全性が高く、合併症などが起こる可能性はとても低くなっています。しかし、ごくまれですが、様々な合併症が生じて、視力が低下する可能性もゼロではありません。
また、手術後の視力は、角膜、網膜、視神経などの、目の他の部分の機能に依存します。白内障以外の病気があれば、手術は無事終わっても、視力が改善しないこともあります。
というわけで、手術前に運転できる視力が出ると保障することすらできず、いつから運転できるとお約束することはできません。
一方、経過良好で術後視力が良好な場合ですが、手術翌日から視力がばっちりでることもあれば、1~2週間程度改善に時間がかかることがあります。
また近視の場合、眼鏡の度数が変わることが多いです。その場合、眼鏡を作成し直す必要があります。
結論ですが、手術後いつから運転できるかはわからないため、しばらくは運転する用事は控えて頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
白内障手術をした直後はよく見えていたけど、数年して視力がまた低下した、という方がいます。
まず、一番多いのが
『後発白内障』
です。
水晶体は、『嚢』という透明の袋で包まれています。白内障手術は、嚢を残して、中味の濁った水晶体を取り除き、残った嚢に眼内レンズを挿入します。
嚢は、最初は透明ですが、時間が経つと、白くにごってしまうことがあります。これが後発白内障です。
症状は、白内障と同様に視力低下が生じます。
こちらは、外来にてレーザー治療で治ります。レーザー治療は5分程度で可能です。
それ以外は、白内障とは関係のない病気の発症が原因となることがおおいです。
特に、白内障手術を要する方は高齢者が多いため、加齢性黄斑変性、緑内障、網膜静脈閉塞症、黄斑前膜など、様々な目の病気を発症する恐れがあります。
そのため、白内障手術が無事終了し、経過良好でも、定期的な診察は続けておいた方がよいかと存じます。
当院では、手術後に眼帯をします。
最近では、眼帯をしない施設も増えてきています。しかし、当院では80歳以上の方も多く、不意に目を触ってしまう可能性を危惧して、眼帯を続けております。
眼帯は、手術翌日の診察時に外します。その後、眼帯は必要ありません。また、当院では保護用ゴーグルも使用しておりません。
眼帯のため、手術当日と翌日は片目となります。片目だと立体感がわかりにくいため、転倒などに注意が必要です。特に、手術しない方の目が視力不良の場合、通院や生活に支障がでるため、事前に家族の方などに付き添いをお願いして頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。