Q 処方箋の有効期限はなぜあるのですか?
A 診察を受けてから時間が経過するほど必要な治療が変わってくる可能性が高くなるためです。
Q 処方箋の有効期限はどれくらいですか?
A 発行日を含めて4日間です。これは『保険医療機関及び保険医療療養担当規則』により定められています。この4日間の中には、土日祝日も含まれるので、注意が必要です。
会計にて処方箋を受け取ったら、その足で薬局に寄って薬をもらうことを推奨します。
近視・遠視・乱視の度数である屈折・角膜曲率半径と、目の硬さである眼圧の測定を一緒に検査できる機器です。
屈折・角膜曲率半径は、視力検査、眼鏡処方、白内障手術における眼内レンズの度数など、様々な場面で必要となります。
眼圧は眼の硬さがわかります。眼圧は、緑内障の発見や治療効果の判定などに重要となります。
両方とも、眼科ではもっとも基本的で大切な検査となります。そのため、眼科ではこの検査から始まることが多いです。内科でいうところの、体温測定や血圧測定みたいなもの、とも言えます。
検査では、台にあごとおでこをのせます。特に眼圧測定時に空気が出てきて、びっくりするかもしれません。力が入ると、眼圧が高くでてしまうため、楽にしてください。
検査は1分程度で終わります。
この機器の最大の特徴は、屈折測定と眼圧測定の二つの検査を一緒にできることです。
従来は、別々の機器で、二つの検査をするために、それぞれの機器へ移動する必要がありました。しかし、特に足が不自由な方にとっては、少しの移動でも大変で、転倒などのリスクあります。
当院は白内障手術を中心とし、高齢者の方が多いため、この一体型の機器を採用しました。移動の苦労や転倒リスクの軽減が期待されます。
OCTは、光干渉断層計と言います。
網膜や視神経の断層を見ることができます。
その精度は大変高く、1μmレベル(1ミリの1000分の1)の構造までみることができます。そのため、いままで肉眼の検査ではとらえることが困難だった病気が、簡単に発見できるようになりました。
この20年でもっとも画期的であり、今では眼科診療にかかせない検査機器となりました。
これにより、網膜の病気(黄斑変性、糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、中心性網脈絡膜症など)と緑内障の診断に大変有効です。
検査は、台にあごとおでこをのせていただき、光を見ていただきます。検査は1分程度で終わります。特に機器が目に接触することもありません。
また、当院の機器は、眼底写真と一体型のため、移動の苦労や転倒リスクの軽減が期待されます。
今回は、小さな子供への目薬のやり方のお話です。
一番わかりやすいやり方をご紹介します。
①目薬をする人は正座して、両足をひろげます。
②子供は顔を上に向けて横になります。
③ひろげた両足で頭を軽く挟み、固定します。
④下まぶたを軽く下に下げます。(あっかんべーの要領で)
⑤下まぶたに目薬をするイメージで点眼します(目の正面だと、目薬の先端が見えるので、子供はいやがります)
ただし、子供がいやがって大暴れの状態ですと、我々でも目薬はとても難しいです。また、目薬をした後に泣いてしまうと、目薬が涙と一緒に流れてしまい、意味がありません。
そのため、無理やり目薬するのは、おススメしません。
もし、子供がいやがって、目薬をするのが難しい場合、子供が寝ているときがやりやすいです。一度試してみて下さい。
角膜内皮細胞とは、角膜の一番内側にある細胞で、角膜の透明性を保つ働きをしています。角膜内皮細胞の数が少なくなると、角膜が白く濁る水疱性角膜症になってしまいます。症状としては、視力低下だけでなく、痛みが生じます。
角膜内皮細胞数の検査機器をスベキュラーマイクロスコープと言います。この検査で、角膜内皮細胞の数がわかります。
検査は、白内障手術前後に行います。手術前から角膜内皮細胞数があまりに少ないと水疱性角膜症になるリスクが高くなります。そのため、手術ができなくなることもあります。また、術後検査で手術による角膜のダメージの状況を確認していきます。
なお、コンタクトレンズにて角膜内皮細胞数が減少すると言われており、検査を希望される方がいらっしゃいます。しかし、そのような方には保険適応になっていないため、当院では白内障手術以外ではこの検査は行っておりませんので、ご了承ください。
OA2000は、光干渉式眼軸長計と言います。
白内障手術にて、眼内レンズの度数決定に活躍します。
白内障手術前検査にて行います。眼軸(目の長さ)を図り、その数値から特殊な計算式を用いて、眼内レンズの度数を導き出します。
OA2000の特徴は、精度が非常に高く、検査可能な症例が増えたことです。測定上ミリ単位の違いでも、結果に大きな誤差が生じてしまいます。OA2000は測定精度が高く、術後の誤差を最小限にしてくれます。
また、以前の機器では、白内障が進行した症例では、測定できないことが少なくありませんでした。OA2000では、かなりの進行例でも測定できるようになりました。
高齢者では、白内障により視力が低下してしまいます。
さらに、視力低下だけでなく、さまざまな全身への影響が大きいことが分かってきました。
高齢者の大規模眼科疫学調査より、70歳以上の視力良好群(0.7以上)と視力不良群(0.7未満)に分けて認知症の発症率を比較しました。すると、視力良好群では、認知症が5.1%でしたが、視力不良群では、認知症が13.3%と有意に多く、視力が悪いほど認知症が増えていました。
視力不良群では、認知症のリスクが2.9倍高かったのです。
さらに、白内障手術既往群と非手術群の2群間で分析したところ、白内障手術で認知機能障害のリスクが2割程度防げることがわかりました。
白内障手術で、認知症のすべてが解決できるわけではありません。一方で、認知症が進行しすぎると、手術後の目薬などの管理が困難となるため、手術ができないことも少なくありません。
白内障による視力低下のため、活動範囲が狭くなりつつある方がご家族にいる場合、手術を検討してもよいかもしれません。
高齢者の疫学調査にて、白内障群では動脈硬化が1.6倍多いという調査結果が出ていました。
また、血圧は通常夜間に低くなりますが、白内障群では、夜間血圧低下がない人が1.8倍となっていました。
動脈硬化や夜間血圧低下の欠乏は、心筋梗塞や脳卒中などの虚血性疾患に影響を与えます。
一方、白内障手術を受け視力が良くなった人の方が、死亡率は低い、と報告されています。
視力改善によるQOLの向上だけでなく、認知機能障害の改善、生体リズムの改善、虚血性疾患などのリスク軽減などが影響している可能性があります。
たかが白内障、されど白内障。
白内障による視力低下を感じたら、一度眼科を受診することをオススメします。
睡眠などの生体リズムは、ブルーライトが関与しています。
白内障は、ブルーライトを遮断するため、生体リズムが障害され、全身に影響すると考えられています。
生体リズムの乱れは、睡眠障害・うつ・糖尿病・高血圧・脳卒中・虚血性心疾患・癌などの多くの疾患と関連します。
白内障手術群と非手術群を比較したところ、白内障手術群で睡眠効率が良く、中途覚醒時間が短く、睡眠の質が改善しました。また、白内障手術前後で比較したところ、術後に夜間メラトニン分泌が増加していました。
これは、白内障手術でブルーライトが届くようになり、生体リズムが改善したことが一つの要因になっていると思われます。
薄暗い部屋で24時間じっとしていたら、誰でも睡眠障害になってしまいますね。
手術で睡眠障害のすべてを改善することはできませんが、視力低下があれば、前向きに検討してもよいもしれません。
黒目の大きさをご存じですか?
直径約1.5cmです。
目の中にアプローチする眼科手術では、この中で操作をする、とても細かい作業となります。肉眼で見ることは不可能なので、手術用顕微鏡で拡大しながら手術を行う必要があります。
一般的に、カメラなどでズームすると、画質が悪くなります。しかし、画像がぼやけると、手術が困難になってしまいます。そのため、手術用顕微鏡の画質が、眼科手術では非常に重要となります。手術用顕微鏡の性能がよくなると、より精密な眼科手術をより正確で安全に行うことが可能となりました。
近年の眼科手術の進化は、手術用顕微鏡に支えられているのです。
眼科手術もいくつかの分野があり、求められる性能が異なります。そして、当院で使用している『ルメラi』は、白内障手術に特化した手術用顕微鏡となっています。
特徴は、『徹照』がとてもよいことです。
目に光を当てると、網膜で反射されます。網膜はオレンジ色なので、目の中がオレンジ色に見えます。これが『徹照』です。
徹照が一番力を発揮するのが、前嚢切開という工程です。
白内障は、嚢という透明な膜で覆われています。その前の部分である前嚢を丸く切り、その部分から器具を入れ、手術を行います。これを前嚢切開といいます。手術の工程の中でも初めの方のため、これがうまくできないと、以降の手術操作が困難になるだけでなく、後嚢破損や水晶体落下などの大きなトラブルにつながります。
嚢はサランラップみたいに無色透明です。そして、白内障は白く濁っています。そのため、特に白内障が進行している場合、前嚢はとても見えにくく、途中で見失うこともあります。
しかし、徹照が良いと、背景がオレンジ色になり、前嚢のエッジが浮き上がって見えるようになります。
それにより、前嚢切開で苦労することが格段に減りました。もちろん、その他の操作も立体的に良く見えるため、ストレスを感じることなく手術することが可能です。
どの手術機器よりも、手術用顕微鏡の進化が白内障手術に寄与していると思っております。