開業日記 エピソード15
今回はお勉強のお話です。
興味がない方は、今回の分は読み飛ばしてもストーリー的には問題ないようにするので、ご安心ください。
では始めます。
診療圏調査は、1日の患者数を推定する調査です。そう聞くと、なんだか小難しそうですが、式にすると、たった3つの数字から計算できます。
1日患者数=受療率×年齢別人口÷競合クリニック数
受療率とは、年齢別(0-14歳、15-64歳、65歳以上)に1日あたり10万人中何人がその科に受診するか、という数値です。これは、厚生労働省が公表しているデータです。それに、年齢別人口(0-14歳、15-64歳、65歳以上の各人口)をかけます。
この数字を競合するクリニック数で割ると、あら不思議、一日の予測患者数がでてきます。
受療率と競合クリニック数は決まった数なので、コントロールできません。一方、年齢別人口は、診療圏範囲、つまり何キロ以内の患者が受診するかの範囲の設定の仕方で、大きく変わってきます。例えば、同じ場所で診療圏範囲を1キロと2キロで比べた場合、距離が倍だと面積は4倍、すると人口も4倍になり、患者数も4倍になります。
1キロと2キロ、歩くと遠いですが、地図上で見ると、誤差範囲です。
そして、A氏とS社の結果の違いも、この診療圏範囲の設定が主な原因であることがわかりました。
通常、この診療圏調査は、候補物件がいくつか出てきた時点で業者にお願いします。しかし、時間がかかるため、あまり多くの物件で調査をお願いすることができません。そのため、数件の候補物件に対して診療圏調査をし、その中で一番結果のよい物件を選ぶことになります。しかし、全部はずれである可能性も否定できません。また、大まかなエリアの選別にも使えません。
そこで、診療圏調査のやり方を教わり、自分で調査できるようにしました。
この特殊能力を手に入れた私は、その後の開業活動を大きく動かすことになる一大プロジェクトに取り組むことになります。
続く