数日後、A氏と共に物件見学へ行きました。
その物件は、内装が全く行われておらず、鉄筋などばむき出しの状態である“スケルトン物件”でした。
マンションのモデルルームへ行くような気分でウキウキしながら物件に足を踏み入れたのですが、むき出しの鉄筋に圧倒され、まったくイメージが浮かばず・・・。
でもぼんやりと鉄柱を眺めているとバカっぽく思われそうなので
「ここはオペ室にちょうどよさそうですね」
などと浅い発言を繰り返してしまいました。おそらく周りの大人たちは、
「こいつ、わかってねーなー」
と心の中で思っていたのではないでしょうか。
内見を終え、次に『診療圏調査』を見せてもらいました。そこには、1日患者数100人以上という景気のいい数字が並んでいました。
診療圏調査について無知だった私は、その調査結果のカラクリに気が付くことはできませんでした・・・。
続く
さまざまなところで開業について相談していたところ、開業支援を行っているという『A氏』を紹介されました。
A氏「先生の開業、無料でお手伝いさせていただきます。」
そのときは、いつもの社交辞令として軽く受け流していました。
今まではそれっきりでおしまいだったのですが、なんと1週間後にA氏よりメールが届きました。
「先生の条件にぴったり合った物件が見つかったので、一緒に内見に行きませんか?」
続く
開業を決意したものの、開業の知識がないため、何をしていいのか、さっぱりわかりません。
そこで、病院に出入りしている業者や開業している先生たちに、かたっぱしから連絡し、相談しました。しかし、具体的な進展が見られないまま1か月が過ぎてしまいました。
今振り返れば、この時期に、開業のキーマンとなるほとんどの人と出会っており、もっとも大事な時期となりました。
しかし当時の私は、
『このままでは開業できないのでは』
と焦るようになりました。
そんな中、これからの開業活動を大きく揺るがすことになる“あの人”に出会うことになります。
続く
「院長に、おれはなる」(ルフィ風)
2016年3月、39歳を迎えた私は、ついに決意しました。
そして大人の都合から、1年ちょっと後
“2017年6月”
の開業を目指すことにしました。
結論から先に言ってしまうと、『2017年6月1日』と、まさに予定通りに開業することになりました。
これから開業までに様々な困難にぶつかるわけですが、この日程を決めておいたおかげで、その後数々のピンチを切り抜けることになるとは、当時の私は知る由もありませんでした。
続く
この物語は、開業に戦いを挑んだ医師の記録である。
開業においてまったく知識もコネもない弱小医師が
絶望の中から這い上がり
わずか1年ちょっとで開業をなし遂げた奇跡を通じて、
その原動力となった「信頼と愛」を余すところなく日記化したものである。
スクールウォーズ風に始めてみました。
このシリーズでは、私が開業活動を通じて体験したことを中心に、書いていきます。
みなさんが楽しんで読んでいただき、また、だれかの何かのお役に立てば幸いです。
それでは、乞うご期待。