白内障手術を希望の場合、手術までに4回の受診が必要となります。
① 外来受診
普通に外来に受診して頂き、診察をした上で、手術が決定となります。
② 『日程決定』
手術日を決定します。手術は月・木午後となります。
手術時に挿入する眼内レンズの度数を決定する検査などを行います。
③ 手術の詳細な説明など
手術についてさらに細かな説明もしていきます。
④ 術前点眼内服の処方
手術前後に必要な目薬などのお薬を処方します。
また、手術前後の生活面での注意点などにつき、説明します。
電話での手術の予約はできません。
1回目の受診から手術まで、1~2か月となります。そのため、手術を希望する時期がありましたら、余裕をもって2か月ほど前に受診して頂くとよいかと存じます。
ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
糖尿病は白内障を悪化させる要因の一つとされています。
実際、糖尿病がある方で、白内障の進行が早い方は多いです。ただし、白内障は加齢性変化のため、特に60歳以上の方の場合、白内障の進行が糖尿病のためか年齢のためか、鑑別することは困難です。
白内障手術が可能かどうかを判断するために、眼科ではHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という数値を主に参考にします。
外科などでは、
『A1Cが7.5%以下であれば手術は可能』
とされています。そのため、眼科でもこの基準を満たせば、白内障手術は可能と判断できます。
一方、A1Cが7.5以上の場合でも、白内障手術は低侵襲のため手術は可能とも言われています。
しかし、血糖値が高いと、手術後に糖尿病網膜症の悪化、感染や炎症の増悪などのリスクが高くなります。
そのため、糖尿病が改善する見込みがあり、白内障手術を急ぐ必要がない場合は、まず糖尿病のコントロールをしっかりとしてから、手術を行うのがベストです。
しかし、「白内障で視力が非常に悪く、日常生活がすでに困難」「今後も糖尿病が改善する可能性が低い」などの理由から、手術を先延ばしすることが難しいことも少なくありません。その場合、糖尿病のコントロールがあまりよくない状態でも、そのまま手術を行うこともあります。
ただし、手術のリスクが高いことを理解していただく必要があります。
いずれにせよ、日頃から、しっかりと糖尿病をコントロールしておくことが大切です。
白内障手術はどの季節がいいですか?という質問をよくいただきます。
特に夏は、暑くて汗もかき、紫外線も強いため、大丈夫か心配される方が多いです。
結論から言いますと、白内障手術の術後成績は、どの季節でも変わりません。
ただし、手術後1週間程度は、感染予防のため洗顔洗髪ができなくなります。汗をかく夏は、より苦痛かもしれません。
また、手術後は視力が改善する分、まぶしく感じることがあります。夏は紫外線が強いため、よりまぶしく感じるかもしれません。紫外線が手術後に直接影響するわけではありませんが、サングラスやUVカットの眼鏡を使用したほうが楽かもしれません。
以上より、夏の手術は問題ないのですが、実際夏の手術は人気がなく、手術件数は減少するのが一般的です。
そのため、早めに手術を希望の場合は、むしろねらい目かもしれません。
今回は、白内障手術 日帰りVS入院 のお話です。
まず、当院では入院施設がないため、日帰りのみとなっています。
院長が以前勤務していた病院には入院施設があり、件数は日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明します。
まず、手術結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院は必要ないと考えております。
日帰りと入院の違いは、手術した日に家に帰るか、病院に泊まるか、の違いとなります。
日帰りのメリットは、入院に伴う余計な手間が必要ないことです。
外来と同じように受診し、手術をして、ご帰宅できます。
一方入院すると、手続きや泊まるための荷物の準備など、手術前の準備として、やるべきことがたくさんあります。さらに、初めての病院で緊張したり、ごはんが口にあわなかったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないなど、様々な問題が生じる可能性があります。
また高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になり、認知症が進行することがあります。
日帰りでは、慣れた家に帰れるため、それらの心配はありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。
ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはほとんどありません。しかも、入院施設でも夜間に眼科ドクターが常駐しているわけではないので、即時対応ができるところは少なく、結局は翌朝診察してからの対応となることがほとんどです。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。
白内障手術と年齢についてのお話です。
結論ですが、白内障手術に年齢制限はないです。
当院で白内障手術した最高年齢は94歳です。また、院長自身は、以前勤務していた病院で99歳の方を手術した経験があります。共に、術後問題ありませんでした。
100歳以上の方は、手術した経験がありません(そもそも外来に100歳以上の方は滅多に受診されませんので・・・)
一方、下記の場合、手術が難しくなります。
・白内障が極端に進行している
・全身状態が悪い
・自力で歩行できないため通院が困難
・腰痛などのため横になってじっとしていられない
・座位が保てず、検査ができない
・コミュニケーションが取れない
これらがあると、年齢に関わらず、手術は困難です。
目の状況や全身状態は個人差が大きいため、それぞれで手術をやるべきタイミングは変わってきます。
当院では、手術を強要するようなことはありませんので(最後の一押しが欲しい方には物足りないかもしれませんが)白内障手術の時期につき、迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。
白内障、緑内障ともに、加齢により増える疾患です。そのため、白内障手術を希望される方で、緑内障と診断・治療されている方も少なくありません。
ほとんどの緑内障のタイプでは、通常の白内障手術と同じように手術できます。
ただし、閉塞隅角緑内障などの一部の緑内障のタイプでは、手術が難しいことがあります。また、手術後に眼圧が高くなり、眼圧のコントロールに苦慮することもあります。
一方、手術後の視力ですが、緑内障の方は予測が難しいのが特徴です。
白内障手術をしても、緑内障が治るわけではないため、緑内障による視力視野障害は残ります。そのため、緑内障の状態により、手術後の視力が変わってきます。
緑内障が軽度の場合は、手術後比較的良好な視力が期待できます。
一方、緑内障が重度の場合や、中心視野に異常がある場合、手術をしても視力が改善しないこともあります。
ただし、白内障と緑内障が両方ある場合、どちらがどれくらい視力に影響しているかを正確に把握することは困難です。
そのため、緑内障のある方の白内障手術において、
『手術後、どれくらい見えるようになりますか?』
という質問に対しては、
『いまよりよくなることを期待しているが、どれくらいよくなるかはやってみないとわからない』
というあいまいなお答えとなってしまいます。
手術後の一番の懸念事項は手術後の感染症です。
頻度は非常に低いのですが、失明などの重篤な視力障害が生じる恐れがあります。
術後感染症予防に、水が眼内に入るのを防ぐ必要があります。水が眼内に入る行為として、洗顔洗髪や水泳、運動などが挙げられます
まず洗顔洗髪ですが、手術後1週間程度できません。
洗顔のかわりに、汗拭きシートや絞ったタオルなどをご利用ください。
洗髪は、美容院で上向きの状態で洗うのは可能です。(理容室は下向きなのでダメです)また、水のいらないシャンプーは可能です。(薬局にて購入できます)
水泳はリスクが高いため、1ヶ月程度禁止です。
運動ですが、ウォーキング、ストレッチなどの軽い負荷なら、一週間で可能です。
一方、汗だくになるような激しい運動、負荷の大きい運動は、水泳と同じく1ヶ月程度控えた方がよいです。
一方、テレビやパソコン、スマホを見るなどの、目を使う作業は翌日から可能です。
その他に関しては、基本的に制限はないのですが、こちらの想定していないこともあるかもしれませんので、手術が決まった際に質問して頂ければと存じます。
今回は、白内障手術時の麻酔についてのお話です。
当院では、基本的に「目薬による局所麻酔」で行っております。
たまに、手術に時間がかかりそうな症例や、痛みを感じやすい・麻酔が効きにくい場合は、白目の奥へ麻酔の注射を追加することもあります。注射は目薬と比べると、より長くより痛みが取れます。一方、注射のために白目を切るなど時間がかかる、出血を伴う、などのデメリットがあります。
20年前は、全例注射をしていました。その後、技術や機器が進歩し、手術時間が短縮されたことで、目薬での手術が可能となりました。
局所麻酔のメリットは、薬の体内への移行量が微量なため、全身への副作用がきわめて少ないことです。
痛みに関しては、ほとんどの方は痛くなかったと言われます。しかし、たまに痛かったと言われる方もいます。幸い、当院で痛みにより手術を中断した方は今のところいません。
一方、手術はベッド上でじっとしている必要があります。しかし、認知症や体の震えなどにより、じっとしていられない場合、局所麻酔での手術は困難です。そのような方には全身麻酔が必要となります。当院では全身麻酔はできないため、大学病院などの施設へご紹介します。
しかし、全身麻酔は入院が必要な上、全身麻酔自体のリスクを伴います。そのため、通常は局所麻酔で手術することを前提としています。
白内障手術後、視力がどれくらいでるか?、は手術を受ける方にとっては、一番の関心事項かと存じます。
まず、手術自体ですが、白内障手術の安全性はかなり高いものの、残念ながらごくまれに感染症などの重篤な合併症が生じることがあります。その場合、大幅に視力低下することすらあります。そのため、手術は視力改善を100%保証するものではありません。
次に手術が無事終わった場合。
手術後の視力は、目の他の部分(角膜、網膜、視神経など)の機能に影響されます。
他の部分が問題なければ、良好な視力が期待できます。しかし、白内障以外の病気(角膜混濁、緑内障、黄斑変性、網膜剥離など)があると、それらは白内障手術をしても治らないため、手術が無事に施行できても、視力が改善しないことがあります。
さらに、手術後の視力回復の速度も個人差があり、手術翌日にほぼベストの視力が出る方もいれば、1.2週間程度かけて徐々に回復する方もいます。
以上より、白内障手術後の視力は、
『視力改善が期待されるが、最終的にはやってみないとわからない』
という、あいまいな言い方になってしまいます。
今回は手術時期についてのお話です。
結論から言うと、適切な手術時期は、
「ご本人が不便を感じて、手術をしたくなった時」
となりますが、実際には個々でタイミングが異なります。
例えば、免許更新には矯正視力0.7以上の視力が必要となります。また、新聞などの細かな文字を読むには矯正視力0.5程度が必要と言われています。
それを参考にすると、車の運転をされる方は0.7、日常生活を営むには0.5を下回ると、生活に支障がでてくる可能性があります。
ただし、不便を感じる程度は人それぞれで、視力0.5以下と低下していても、不便を感じない人もいます。 一方、そこまで視力は悪くないにも関わらず、生活に支障を感じる方もいます。
しかし、あまり視力が良いうちに手術をすると、手術は問題なく施行され、手術後の視力も良好にも関わらず、
「思ったよりよくない」
「もっとよく見えるようになると思っていたのに」
などの不満が出ることが少なくありません。
白内障は基本的にゆっくりと進行します。そして、手遅れになって手術ができない、ということはほとんどありません。そのため、すでに白内障が相当進行している場合や、進行が急激な場合を除き、医学的に手術の緊急性は高くありません。
以上より、当院では、白内障手術はご本人のご希望があった時にやる、を原則としており、手術を強要することはありませんので、ご安心下さい。