手術後に大量の汗が目に入ると、傷口から汗とともに菌が入り込み、感染のリスクが高まります。また、極端に重い物を持ったり、こすったりすると、傷口が開いてしまう恐れがあります。
そのため、手術後1か月間は、激しい運動やウエイトトレーニングは禁止となります。
一方、日常生活レベルのウォーキングやストレッチなどは、手術翌日から可能です。
汗もほとんどかかず、力もそれほど入れない軽い運動は手術後1週間程度で可能です。
ただし、どの程度の運動が軽いか激しいかは、元の体力など個人差が大きいため、判断が難しい場合が多いです。
手術後は無理をせずに、のんびりと過ごしていただくことをオススメします。
手術後に目に大量の水が入ると、傷口から水と一緒に菌が目の中に入り込み、感染を起こすリスクが高まります。
万が一術後の感染を起こすと、重篤な視力障害を生じるため、なんとしても避けたいところです。
特にプールは、感染リスクの高い行為となります。
そこで、手術後のプールは1か月間禁止となります。
その間は、ウォーキングなどの運動で代用して頂ければと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
【答え】
『まぶしさが強くて、サングラスをしたほうが楽であれば使用してもいいですし、必要を感じなければ使用しなくてもよい』
【解説】
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、きれいな眼内レンズを挿入します。濁りを取り除くことで光が入る量が増加し、視力が改善することが期待されます。
一方で、光が入る量が増えることで、『まぶしい』と感じる方もいらっしゃいます。
特に夏場や運転中に強くまぶしさを感じることが多いです。
まぶしさへの対策としては、サングラスやUVカットの眼鏡などが有効です。
また、日光は加齢性黄斑変性症や翼状片などの、他の目の病気の悪化要因とされています。そのため、それらの病気の予防効果も期待されます。ただし、長時間屋外で過ごすわけでなければ、それほど気にしなくてもよいレベルかと思います。
というわけで、白内障手術後にまぶしさを強く感じて、生活に支障を生じる場合にはサングラスやUVカットの眼鏡の使用を検討していただき、特に不便がなければ、必ずしも使用する必要はありません。
白内障手術を希望の場合、手術までに4回の受診が必要となります。
①初診
外来に受診して頂き、診察で目の状態を確認した上で、手術が決定となります。
②『日程決定』
手術日などを決定します。手術は月・木午後となります。
③『術前検査』
手術時に挿入する眼内レンズの度数を決定する検査など、手術に必要な検査を行います。また、手術についてさらに細かな説明もしていきます。
④『術前説明』
手術前後に必要な目薬などのお薬を処方します。また、手術前後の生活面での注意点などにつき、説明します。
電話での手術の予約はできません。
1回目の受診から手術まで、1~2か月となります。そのため、手術を希望する時期がありましたら、余裕をもって2か月ほど前に受診して頂くとよいかと存じます。
ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
当院では、手術日は月曜と木曜の午後となっております。
また、眼帯を外し、診察するため、手術翌日9時半の受診が必ず必要となります。
両目手術の場合、片目ずつ行います。最短で月曜・木曜、もしくは木曜・月曜で行うことが可能です。
また、1週間空けて行う方も多いです。
洗顔洗髪の制限や手術後の目薬の混乱を防ぐため、両目手術する場合は、あまり間を空けないことをオススメします。
手術は、約1~2か月待ちとなっております。そのため、手術希望の方は、事前に1か月以上先で空いている日程につき確認しておいていただけると、日程を決定する際スムーズです。
よろしくお願い申し上げます。
今回は手術時期についてのお話です。
結論から言うと、適切な手術時期は、
「ご本人が不便を感じて、手術をしたくなった時」
となりますが、実際には個々でタイミングが異なります。
例えば、免許更新には矯正視力0.7以上の視力が必要となります。また、新聞などの細かな文字を読むには矯正視力0.5程度が必要と言われています。
それを参考にすると、車の運転をされる方は0.7、日常生活を営むには0.5を下回ると、生活に支障がでてくる可能性があります。
ただし、不便を感じる程度は人それぞれで、視力0.5以下と低下していても、不便を感じない人もいます。 一方、そこまで視力は悪くないにも関わらず、生活に支障を感じる方もいます。
しかし、あまり視力が良いうちに手術をすると、手術は問題なく、術後視力も良好にも関わらず、
「思ったよりよくない」
「もっとよく見えるようになると思っていたのに」
などの不満が出ることが少なくありません。
白内障は基本的にゆっくりと進行します。そして、手遅れになって手術ができない、ということはほとんどありません。そのため、すでに白内障が相当進行している場合や、進行が急激な場合を除き、医学的に手術の緊急性は高くありません。
以上より、当院では、白内障手術はご本人のご希望があった時にやる、を原則としており、手術を強要することはありませんので、ご安心下さい。
白内障、緑内障ともに、加齢により増える疾患です。そのため、白内障手術を希望される方で、緑内障と診断・治療されている方も少なくありません。
ほとんどの緑内障のタイプでは、通常の白内障手術と同じように手術できます。
ただし、閉塞隅角緑内障などの一部の緑内障のタイプでは、手術が難しいことがあります。また、手術後に眼圧が高くなり、眼圧のコントロールに苦慮することもあります。
一方、手術後の視力ですが、緑内障の方は予測が難しいのが特徴です。
白内障手術をしても、緑内障が治るわけではないため、緑内障による視力視野障害は残ります。そのため、緑内障の状態により、手術後の視力が変わってきます。
緑内障が軽度の場合は、手術後比較的良好な視力が期待できます。
一方、緑内障が重度の場合や、中心視野に異常がある場合、手術をしても視力が改善しないこともあります。
ただし、白内障と緑内障が両方ある場合、どちらがどれくらい視力に影響しているかを正確に判断するのは困難です。
そのため、緑内障のある方の白内障手術において、
『手術後、どれくらい見えるようになりますか?』
という質問に対しては、
『いまよりよくなることを期待しているが、どれくらいよくなるかはやってみないとわからない』
というあいまいなお答えとなってしまいます。
今回は、白内障手術時の麻酔についてのお話です。
当院では、基本的に「目薬による局所麻酔」で行っております。
たまに、手術に時間がかかりそうな症例や、痛みを感じやすい・麻酔が効きにくい場合は、白目の奥へ麻酔の注射を追加することもあります。注射は目薬と比べると、より長くより痛みが取れます。一方、注射のために白目を切るなど時間がかかる、出血を伴う、などのデメリットがあります。
20年前は、全例注射をしていました。その後、技術や機器が進歩し、手術時間が短縮されたことで、目薬での手術が可能となりました。
局所麻酔のメリットは、薬の体内への移行量が微量なため、全身への副作用がきわめて少ないことです。
痛みに関しては、ほとんどの方は痛くなかったと言われます。しかし、たまに痛かったと言われる方もいます。幸い、当院で痛みにより手術を中断した方は今のところいません。
一方、手術はベッド上でじっとしている必要があります。しかし、認知症や体の震えなどにより、じっとしていられない場合、局所麻酔での手術は困難です。そのような方には全身麻酔が必要となります。当院では全身麻酔はできないため、大学病院などの施設へご紹介します。
しかし、全身麻酔は入院が必要な上、全身麻酔自体のリスクを伴います。
そのため、通常は局所麻酔で手術することを前提としています。
こちらは、個々により異なるため、正確に答えるのがなかなか難しいです。
まず、白内障は、この時点で手遅れになる、手術ができなくなる、というリミットが明確にあるわけではありません。
そのため、すぐに手術をしなければだめだ、という状況は多くはありません。
一方で、白内障は進行すると手術が難しくなる、という面もあります。
さらに全身状態が悪くなると、より手術が難しくなるうえ、場合によっては手術ができなくなることもあります。
そのため、白内障手術は目の状況や年齢を含めた全身状態により、やるべき時期が変わってきます。
当院では、手術を強要するようなことはありませんので(最後の一押しが欲しい方には物足りないかもしれませんが)白内障手術の時期につき、迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。
白内障手術と年齢についてのお話です。
結論ですが、白内障手術に年齢制限はないです。
当院で白内障手術した最高年齢は94歳です。また、院長自身は、以前勤務していた病院で99歳の方を手術した経験があります。共に、術後問題ありませんでした。
一方、
・全身状態が悪い
・通院が困難
・横になれない、じっとしていられない
・座位が保てず、検査ができない
などがあると、年齢に関わらず、手術は困難です。
そのため、白内障手術は、年齢よりも、どちらかと言えば全身状態のほうが重要となります。