白内障手術後、視力がどれくらいでるか?、は手術を受ける方にとっては、一番の関心事項かと存じます。
まず、手術自体ですが、白内障手術の安全性はかなり高いものの、残念ながらごくまれに感染症などの重篤な合併症が生じることがあります。その場合、大幅に視力低下することすらあります。そのため、手術は視力改善を100%保証するものではありません。
次に手術が無事終わった場合。
手術後の視力は、目の他の部分(角膜、網膜、視神経など)の機能に影響されます。
他の部分が問題なければ、良好な視力が期待できます。しかし、白内障以外の病気(角膜混濁、緑内障、黄斑変性、網膜剥離など)があると、それらは白内障手術をしても治らないため、手術が無事に施行できても、視力が改善しないことがあります。
さらに、手術後の視力回復の速度も個人差があり、手術翌日にほぼベストの視力が出る方もいれば、1.2週間程度かけて徐々に回復する方もいます。
以上より、白内障手術後の視力は、
『視力改善が期待されるが、最終的にはやってみないとわからない』
という、あいまいな言い方になってしまいます。
今回は手術時期についてのお話です。
結論から言うと、適切な手術時期は、
「ご本人が不便を感じて、手術をしたくなった時」
となりますが、実際には個々でタイミングが異なります。
例えば、免許更新には矯正視力0.7以上の視力が必要となります。また、新聞などの細かな文字を読むには矯正視力0.5程度が必要と言われています。
それを参考にすると、車の運転をされる方は0.7、日常生活を営むには0.5を下回ると、生活に支障がでてくる可能性があります。
ただし、不便を感じる程度は人それぞれで、視力0.5以下と低下していても、不便を感じない人もいます。 一方、そこまで視力は悪くないにも関わらず、生活に支障を感じる方もいます。
しかし、あまり視力が良いうちに手術をすると、手術は問題なく施行され、手術後の視力も良好にも関わらず、
「思ったよりよくない」
「もっとよく見えるようになると思っていたのに」
などの不満が出ることが少なくありません。
白内障は基本的にゆっくりと進行します。そして、手遅れになって手術ができない、ということはほとんどありません。そのため、すでに白内障が相当進行している場合や、進行が急激な場合を除き、医学的に手術の緊急性は高くありません。
以上より、当院では、白内障手術はご本人のご希望があった時にやる、を原則としており、手術を強要することはありませんので、ご安心下さい。
白内障手術後は、3種類の目薬を使用します。
そのため、普段から使用している目薬を一緒に使うと、4種類以上となってしまいます。目薬の種類が多いと、本来やるべき手術後の目薬をやり忘れたり、左右間違えて使用していたりと、間違える方が少なくありません。
そのため、当院では手術後、他の目薬は『原則中止』としております。
普段使用している目薬をやめることを心配する方もいらっしゃいます。しかし、手術後の目薬は、術後感染症の予防など、大変重要で、優先順位は他の目薬より圧倒的に高くなります。
ただし、緑内障の方で手術後眼圧が高い場合や、他眼でどうしても目薬が必要な場合、早期に再開することはあります。
そういったケースでは、診察の上で説明いたしますので、まずは原則中止、と思っておいてください。
普通免許では、矯正視力0.7以上が必要となります。
そのため、矯正視力が0.7以上出た時点で車の運転が可能となります。
白内障手術は安全性が高く、合併症などが起こる可能性はとても低くなっています。しかし、ごくまれですが、様々な合併症が生じて、視力が低下する可能性もゼロではありません。
また、手術後の視力は、角膜、網膜、視神経などの、目の他の部分の機能に依存します。白内障以外の病気があれば、手術は無事終わっても、視力が改善しないこともあります。
さらに、視力の回復する速度も人それぞれで、手術翌日から視力がでる人もいれば、回復に1~2週間程度の時間がかかることもあります。
そのため、手術後運転可能になる保証はできません。
場合によっては、免許返納も想定して頂く必要があります。
いつから運転できるかは断定できないため、手術後は一旦運転する用事は控えて頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
白内障手術では、手術の時に目の中に移植する眼内レンズの度数により、近視や遠視などのピントの位置を調整することができます。
強度近視の場合、近視を軽くすることが可能で、近視をほぼ0にすることもできます。そのため、白内障のにごりを取ることによる視力回復だけでなく、近視矯正としてのメリットも大きく、手術後に喜ばれることが多いです。
しかし、強度近視の方で、片目のみ白内障が進行している場合、片目のみ手術をして近視を軽減させると、手術しないほうの目と度数の差が非常に大きくなってしまいます。そうなると、手術後に眼鏡での矯正が困難となり、不便が生じることが懸念されます。
そのため、強度近視で片目のみ白内障が進行している場合、
①両目手術する
②片目のみ手術する
③反対目も白内障が進むまで手術を我慢する
の3択となります。
① 両目手術する場合、左右差を気にせずに手術できるため、わかりやすいです。また、反対眼も同様に近視矯正されるため、メリットは大きいです。しかし、手術にはリスクを伴い、視力低下のない方の目を手術することに抵抗を感じる方も多いです。
② 片目のみ手術する場合、術後の左右差にどう対処するかを検討する必要があります。
最も左右差を感じにくいのが、コンタクトです。元々コンタクトを使用している方は、手術後も反対目はコンタクトを継続することで、日中はほぼ問題なく過ごせます。しかし、コンタクトは24時間使用できないのが難点です。
眼鏡で矯正する場合、左右差が大きいと完全矯正が困難です。そのため、通常は手術した目を中心とし、反対目は低矯正にしてバランスを取ります。
しかし、どうしても度数の左右差に適応できない場合、早めに反対目も手術する必要が出てきます。
③ 反対目にも白内障がある場合、反対目も手術適応になるまで待ってから手術するが一番分かりやすいです。ただし、片目だけどんどん進行し、反対目は良好な視力を数年キープするケースも少なくありません。その場合、どこまで待てるか、迷うところです。
どの方法がよいかは、両眼の白内障の状況、白内障の進行速度、コンタクトの使用の有無など、個人差が大きく、判断が難しいです。
手術のタイミングを慎重に検討し、手術をする際には、手術のメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。
冬休みで手術ができない日が多かったため、白内障手術の待期期間は約2か月となっています。
現時点で2月まで手術枠が埋まっているため、今手術を申し込んだ場合、3月以降となります。
よろしくお願い致します。
当院では、白内障手術後は眼帯をしています。眼帯は翌朝診察し、問題なければ眼帯は外れます。そのため、手術後の帰りと、翌日の受診時は片目となります。
片目でも歩行に問題なければ、付き添いなしでも可能です。また、通院にタクシーを利用するのもよいと思います。
一方、片目だと立体感が取れず、転倒のリスクも高くなります。片目での歩行に不安を感じる方、転倒など心配な方、もう片方の目の視力が悪い方などは、付き添いがあった方が安心です。
白内障手術を検討されている方は、試しに片目をつぶった状態で散歩してみるなど試してみると、わかりやすいかと思います。
白内障手術は、安全性が高く、手術でトラブルが起きることはめったにありません。
そして、手術後の満足度は全体的にはとても高いです。
しかし、たまに手術は問題なくできているにもかかわらず、術後に不満を感じる方もいます。
白内障手術を満足する人としない人につき、取り上げます。
手術後に満足されるポイントは
『術後視力が大幅に改善』することです。
そのため、手術後満足するためには
① 手術前にそれなりに視力低下している
② 手術後に視力が改善する
の2点が重要となります。
逆に、手術後に不満足となるポイントを列挙すると、
①術前視力が良好
②術後視力不良
③視力以外の症状も手術で治ると思っている
④そもそも困っていない
⑤手術をするかどうか迷っている
⑥手術に関する説明を理解していない
特に、元々視力が比較的良い方、また白内障以外の病気で手術しても改善が見込みにくい方は、術後不満足となる可能性が高いです。
ただし、手術前に満足するかどうか、こちらも正確に予想することは困難です。
とりあえず、手術を検討されている方は、一度受診してご相談いただくとよいかと存じます。
白内障手術で、悪いほうの目だけで手術するか、それとも両目とも手術したほうがいいか、というご相談をよく頂きます。
まず、両目手術のメリットですが、
・同じ月だと、限度額により、自己負担額が安くなる
・術後の左右のバランスがよい
・ピントの位置を自由に選ぶことができる
・眼鏡を早く作成できる
・術前検査などが一度で済む
などが挙げられます。
両目ともある程度白内障が進行している場合、いずれ良いほうの目も手術することになるため、両目とも手術をしたほうが、メリットは大きいと考えます。
一方、片目のみ白内障が進行しているが、反対目は視力良好の場合、視力や度数の左右差などを考慮したうえで、片目か両目かを相談して決定します。
判断はそれぞれの目の状態によって変わってきますので、迷ったら一度ご相談頂ければ幸いです。
今回は、白内障手術 日帰りVS入院 のお話です。
まず、当院では入院施設がないため、日帰りのみとなっています。
院長が以前勤務していた病院には入院施設があり、件数は日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明します。
まず、手術結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院は必要ないと考えております。
日帰りと入院の違いは、手術した日に家に帰るか、病院に泊まるか、の違いとなります。
日帰りのメリットは、余計な手間が必要ないことです。
外来と同じように受診し、手術をして、ご帰宅できます。
一方入院すると、手続きや泊まるための荷物の準備など、やるべきことがたくさんあります。さらに、初めての病院で緊張したり、ごはんが口にあわなかったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないなど、様々な問題が生じる可能性があります。
また高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になり、認知症が進行することがあります。
日帰りでは、慣れた家に帰れるため、それらの心配はありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。
ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはほとんどありません。しかも、入院施設でも夜間に眼科ドクターが常駐しているわけではないので、即時対応ができるところは少なく、結局は翌朝診察してからの対応となることがほとんどです。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。