『強度近視の片目だけの白内障手術は可能ですか?』
白内障手術では、手術の時に目の中に移植する眼内レンズの度数により、近視や遠視などのピントの位置を調整することができます。
強度近視の場合、近視を軽くすることが可能で、近視をほぼ0にすることもできます。そのため、白内障のにごりを取ることによる視力回復だけでなく、近視矯正としてのメリットも大きく、手術後に喜ばれることが多いです。
しかし、強度近視の方で、片目のみ白内障が進行している場合、片目のみ手術をして近視を軽減させると、手術しないほうの目と度数の差が非常に大きくなってしまいます。そうなると、手術後に眼鏡での矯正が困難となり、不便が生じることが懸念されます。
そのため、強度近視で片目のみ白内障が進行している場合、
①両目手術する
②片目のみ手術する
③反対目も白内障が進むまで手術を我慢する
の3択となります。
① 両目手術する場合、左右差を気にせずに手術できるため、わかりやすいです。また、反対眼も同様に近視矯正されるため、メリットは大きいです。しかし、手術にはリスクを伴い、視力低下のない方の目を手術することに抵抗を感じる方も多いです。
② 片目のみ手術する場合、術後の左右差にどう対処するかを検討する必要があります。
最も左右差を感じにくいのが、コンタクトです。元々コンタクトを使用している方は、手術後も反対目はコンタクトを継続することで、日中はほぼ問題なく過ごせます。しかし、コンタクトは24時間使用できないのが難点です。
眼鏡で矯正する場合、左右差が大きいと完全矯正が困難です。そのため、通常は手術した目を中心とし、反対目は低矯正にしてバランスを取ります。
しかし、どうしても度数の左右差に適応できない場合、早めに反対目も手術する必要が出てきます。
③ 反対目にも白内障がある場合、反対目も手術適応になるまで待ってから手術するが一番分かりやすいです。ただし、片目だけどんどん進行し、反対目は良好な視力を数年キープするケースも少なくありません。その場合、どこまで待てるか、迷うところです。
どの方法がよいかは、両眼の白内障の状況、白内障の進行速度、コンタクトの使用の有無など、個人差が大きく、判断が難しいです。
手術のタイミングを慎重に検討し、手術をする際には、手術のメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。