白内障手術をした直後はよく見えていたけど、数年して視力がまた低下した、という方がいます。
まず、一番多いのが
『後発白内障』
です。
水晶体は、『嚢』という透明の袋で包まれています。白内障手術は、嚢を残して、中味の濁った水晶体を取り除き、残った嚢に眼内レンズを挿入します。
嚢は、最初は透明ですが、時間が経つと、白くにごってしまうことがあります。これが後発白内障です。
症状は、白内障と同様に視力低下が生じます。
こちらは、外来にてレーザー治療で治ります。レーザー治療は5分程度で可能です。
それ以外は、白内障とは関係のない病気の発症が原因となることがおおいです。
特に、白内障手術を要する方は高齢者が多いため、加齢性黄斑変性、緑内障、網膜静脈閉塞症、黄斑前膜など、様々な目の病気を発症する恐れがあります。
そのため、白内障手術が無事終了し、経過良好でも、定期的な診察は続けておいた方がよいかと存じます。
当院では、手術後に眼帯をします。
最近では、眼帯をしない施設も増えてきています。しかし、当院では80歳以上の方も多く、不意に目を触ってしまう可能性を危惧して、眼帯を続けております。
眼帯は、手術翌日の診察時に外します。その後、眼帯は必要ありません。また、当院では保護用ゴーグルも使用しておりません。
眼帯のため、手術当日と翌日は片目となります。片目だと立体感がわかりにくいため、転倒などに注意が必要です。特に、手術しない方の目が視力不良の場合、通院や生活に支障がでるため、事前に家族の方などに付き添いをお願いして頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
手術後に大量の汗が目に入ると、傷口から菌が入り込み、感染のリスクが高まります。また、極端に重い物を持ったり、こすったりすると、傷口が開いてしまう恐れがあります。
そのため、手術後1か月間は、激しい運動やウエイトトレーニングは禁止としています。
一方、日常生活レベルのウォーキングやストレッチなどは、手術翌日から可能です。
汗もほとんどかかず、力もそれほど入れない軽い運動は手術後1週間程度で可能です。
ただし、軽いか激しいかは、個人の運動能力により差があるため、こちらも判断が難しい場合が多いです。
手術後は無理をせずに、のんびりと過ごしていただくことをオススメします。
手術後に目に大量の水が入ると、傷口から菌が入り込み、感染を起こすリスクが高まります。
万が一術後の感染を起こすと、重篤な視力障害を生じる可能性があるため、なんとしても避けたいところです。
プールは色々な人が使用するため、医学的には決してキレイとは言えません。そのため、プールは手術後一番感染リスクの高い行為と言えます。
そこで、手術後のプールは1か月間禁止となります。
その間の運動は、ウォーキングなどで代用して頂ければと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
まず、診察にて手術適応のある方に、手術の希望につき伺います。
手術希望がある場合、手術や術前検査の日程を予約していきます。
当院では、月曜と木曜の午後が手術日となっております。
また、手術翌日は、9時半から診察を行います。そのため、手術日午後と翌日午前中に受診の必要があります。
さらに術前検査のため、手術までに2回の受診が必要となります。
これらの日程をすべて決定した時点で、手術が決定となります。
なお、電話での予約や代理人による予約はできませんので、ご了承ください。
白内障手術はどの季節がいいですか?という質問をよくいただきます。
特に夏は、暑くて汗もかき、紫外線も強いため、大丈夫か心配される方が多いです。
結論から言いますと、白内障手術の術後成績は、どの季節でも変わりません。そして、夏が悪いということは一切ありません。
ただし、手術後4日程度は、洗顔洗髪ができないため、汗をかく夏は苦痛です。
また、手術後は視力が改善する分、まぶしく感じることがあります。夏は紫外線が強いため、よりまぶしく感じるかもしれません。紫外線が手術後に直接影響するわけではありませんが、サングラスやUVカットの眼鏡を使用したほうが楽かもしれません。
そんなわけで、夏は白内障手術の希望者が少ないです。
現在、当院では手術待ちは1か月程度で、今手術を申し込むと5月中旬以降となります。
もし、暑くなる前に手術をご希望の場合、早めに受診上、手術を申し込まれることをオススメします。
当院では、手術日は月曜と木曜の午後となっております。
また、眼帯を外し、診察するため、手術翌日9時半の受診が必ず必要となります。
両目手術の場合、片目ずつ行います。一番早くて月曜・木曜、もしくは木曜・月曜で行うことが可能です。
また、1週間空けて行う方も多いです。
洗顔洗髪の制限や手術後の目薬の混乱を防ぐため、あまり間を空けないことをオススメします。
手術は、約1か月待ちとなっております。そのため、手術希望の方は、事前に1か月以上先で空いている日程につき確認しておいていただけると、日程を決定する際助かります。
よろしくお願い申し上げます。
高齢者の疫学調査にて、白内障群では動脈硬化が1.6倍多いという調査結果が出ていました。
また、血圧は通常夜間に低くなりますが、白内障群では、夜間血圧低下がない人が1.8倍となっていました。
動脈硬化や夜間血圧低下の欠乏は、心筋梗塞や脳卒中などの虚血性疾患に影響を与えます。
一方、白内障手術を受け視力が良くなった人の方が、死亡率は低い、と報告されています。
視力改善によるQOLの向上だけでなく、認知機能障害の改善、生体リズムの改善、虚血性疾患などのリスク軽減などが影響している可能性があります。
たかが白内障、されど白内障。
白内障による視力低下を感じたら、一度眼科を受診することをオススメします。
睡眠などの生体リズムは、ブルーライトが関与しています。
白内障は、ブルーライトを遮断するため、生体リズムが障害され、全身に影響すると考えられています。
生体リズムの乱れは、睡眠障害・うつ・糖尿病・高血圧・脳卒中・虚血性心疾患・癌などの多くの疾患と関連します。
白内障手術群と非手術群を比較したところ、白内障手術群で睡眠効率が良く、中途覚醒時間が短く、睡眠の質が改善しました。また、白内障手術前後で比較したところ、術後に夜間メラトニン分泌が増加していました。
これは、白内障手術でブルーライトが届くようになり、生体リズムが改善したことが一つの要因になっていると思われます。
薄暗い部屋で24時間じっとしていたら、誰でも睡眠障害になってしまいますね。
手術で睡眠障害のすべてを改善することはできませんが、視力低下があれば、前向きに検討してもよいもしれません。
強度近視では、なぜか白内障が早くから発症することが多いです。
白内障を改善するには、手術が必要となります。
その白内障手術ですが、挿入する眼内レンズ度数を調整することで、近視を軽くすることが可能です。場合によっては、近視をほぼ0にすることもできます。
そのため、強度近視の場合、本来の目的である白内障のにごりを取ることによる視力回復だけでなく、『近視矯正』によるメリットも大きいです。
しかし、強度近視で片目のみ白内障が進行している場合、片目のみ手術をして近視を軽減させると、手術しない目との近視度数の差が非常に大きくなってしまいます。そうなると、眼鏡での矯正が困難となります。コンタクトレンズであれば、左右の度数差を気にせず矯正できますが、コンタクトレンズは1日中使用することができません。
そのため、強度近視で片目のみの白内障への対応は、苦慮することが多いです。
選択肢としては、
①両目手術する
②片目のみ手術する
③もう片方も白内障が進むまで手術を我慢する
の3択となります。
①両目手術すると、左右の度数差を気にせずに手術できるため、最もわかりやすいです。しかし、手術にはリスクを伴うため、視力低下のない反対目を手術することに抵抗を感じる方も多いかと思います。
②片目のみ手術する場合、術後の左右の度数差を眼鏡やコンタクトレンズで矯正して対応します。
しかし、うまく適応できない場合は、早めに反対目の手術を検討します。
③現時点で生活にそれほど不便がなく、緊急性を要さない場合、反対目の白内障が進行するまで、数年待つという方法もあります。
どの方法がよいかは、個人差が大きいので、手術のタイミングを慎重に検討し、手術をする際には、手術のメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。