開業日記 エピソード12
運命の日 後編
そして、A氏へ再度電話し、第一声
私「この開業、やめさせていただきます。」
A氏「いまさら何を言っているんですか。みんな先生のためにがんばっているんですよ。もう、私が謝っただけではすまされませんよ。」
私「全責任は私が持ちますので、もう結構です。」
こうして、A氏との開業活動は幕を閉じました。
その後、今回の件に関与したすべての方々に謝罪の連絡をしました。
その中で判明したのですが、A氏は私の知らないところで、契約日をはじめとした様々な段取りを行っていました。また、そのやり方も巧妙で、例えば内装業者に
「何日、物件の調査お願いします。その日は、先生も同席します。」
とアポイントを取っていました。このような言い方をすることで、先方は私がこの件につき了承していると、当然考えます。ところが、私はその日程を聞いておらず、さらに、その日は外来があり、そもそも行けない日程なのです。
A氏は、オーナーや業者たちに、同様のやり口で、私が指示しているように見せかけて、勝ってに様々な段取りを組んでいたようでした。
皆さんのお話をまとめると、A氏は、このような嘘を積み重ねて緻密なスケジュールを組んでいました。しかし、A氏としては予定外にS社の話やリーガルチェックなどが入り、スケジュールが崩れました。すると、嘘を積み重ねたために、私や業者に事情を説明し修正ができなくなり破綻した、と推測しています。
信頼していた人間に裏切られ、人間不信になった私は、ステージ上でマイクを置いて、こう言いました。
「私、普通の勤務医に戻ります。」(百恵ちゃん風)
続く