白内障手術では、目の周りを消毒するため、手術を受けられる方はマスクを着用することができません。
そのため、手術時は、外来診療以上に、新型コロナウイルス感染対策に気を使っています。
スタッフは全員、マスク・ゴーグル・フェイスシールド・手袋を着用しています。
しかし、院長は、ゴーグルやフェイスシールドが曇ると手術ができなくなるため、これらの装備を着用できません。通常使用しているサージカルマスクでは不十分と考えているため、N95マスクという、コロナ病棟などで使用されている特殊マスクを使用しています。N95マスクは、実験上新型コロナウイルスもほぼ通すことがないことが証明されています。
オペ室は、目の感染を防ぐため、クリーンルームとなっていて、常時換気も行っています。また、手術中は、ドレープという清潔な布を顔全体に覆うため、感染の心配はありません。
以上より、白内障手術における新型コロナウイルスの感染リスクはかなり低いと考えられます。そのため、安心して手術を受けて頂けるかと存じます。
高齢者では、白内障により視力が低下してしまいます。
さらに、視力低下だけでなく、さまざまな全身への影響が大きいことが分かってきました。
高齢者の大規模眼科疫学調査より、70歳以上の視力良好群(0.7以上)と視力不良群(0.7未満)に分けて認知症の発症率を比較しました。すると、視力良好群では、認知症が5.1%でしたが、視力不良群では、認知症が13.3%と有意に多く、視力が悪いほど認知症が増えていました。
視力不良群では、認知症のリスクが2.9倍高かったのです。
さらに、白内障手術既往群と非手術群の2群間で分析したところ、白内障手術で認知機能障害のリスクが2割程度防げることがわかりました。
白内障手術で、認知症のすべてが解決できるわけではありません。一方で、認知症が進行しすぎると、手術後の目薬などの管理が困難となるため、手術ができないことも少なくありません。
白内障による視力低下のため、活動範囲が狭くなりつつある方がご家族にいる場合、手術を検討してもよいかもしれません。
普通免許の更新には、両目で矯正視力0.7以上が必要となります。
白内障手術は、ごくまれですが、合併症により視力が低下することもあり、視力の改善を保障することはできません。
そのため、手術後に運転免許が更新できること自体、お約束ができません。
手術が無事終了した場合ですが、手術翌日からすぐに視力が出ることも多いですが、視力回復に術後1~2週間程度を要することもあります。また、手術後に度数が変化するため、眼鏡を新しく作成する必要が生じることもあります。
結論としては、手術後に運転ができるどうか、そして、いつから可能かは、手術をやってみなければわかりません。
念のため、手術後は運転を控えて頂いたほうがよいかと存じます。
今回は、手術時の付き添いについてのお話です。
当院では、白内障手術後は眼帯をしています。眼帯は翌朝診察し、問題なければ眼帯は外れます。そのため、手術後の帰りと、翌日の受診時は片目となります。
片目だと立体感が取れず、見えにくいなど不便を感じることがあります。
片目でも歩行に問題なければ、付き添いなしでも可能です。また、お金はかかりますが、タクシーを利用する方法もあります。
一方、片目は歩行に不安を感じる方、転倒など心配な方は、付き添いがあった方が安心です。
白内障手術を検討されている方は、試しに片目をつぶった状態で歩行などをしてみると、わかりやすいかと思います。
白内障手術をした後は、翌日の外来まで眼帯をする必要があります。しかし、反対目が見えない場合、生活に支障が生じます。
そこで、当院では、透明眼帯を使用しています。今のところ、手術後からよく見えると、概ね好評です。
ただし、手術直後の見え方は個人差があるため、家族などのサポート体制が不可欠です。そのため、一人暮らしの方など、生活に不安がある場合は、入院して手術を受けたほうが安心です。当院では日帰り手術のみで、入院ができないため、入院ができる病院へご紹介することも可能です。
大切な目ですので、一度ご相談ください。
今回は、白内障手術 日帰りVS入院 のお話です。
まず、よしだ眼科は入院施設がないため、日帰りのみとなっています。
院長が以前勤務していた病院には入院施設があり、日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明します。
まず、手術結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院は必要ないと考えております。
日帰りと入院の違いは、手術した日に家に帰るか、病院に泊まるか、の違いとなります。
日帰りのメリットは、余計な手間が必要ないことです。
外来と同じように受診し、手術をして、ご帰宅できます。当院での滞在時間は1~2時間程度です。
一方入院すると、手続きや泊まるための荷物の準備など、やるべきことがたくさんあります。さらに、初めての病院で緊張したり、ごはんが口にあわなかったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないなど、様々な問題が生じる可能性があります。
また高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になり、認知症が進行することがあります。
日帰りでは、慣れた家に帰れるため、それらの心配はありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。
ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはごくまれです。しかも、入院施設でも夜間に手術などの対応ができるところは実は少なく、結局は翌朝診察してからの対応となることがほとんどです。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。
今回は手術のタイミングについてのお話です。
基本的な手術のタイミングは、
「ご本人が不便を感じて、手術をしたくなった時」
となります。
ただ、この説明だけだとわかりにくいので、具体的な視力の数値で説明していきます。
免許更新には矯正視力0.7、新聞などの文字を読むには矯正視力0.5程度が必要です。
それを参考にすると、車の運転をされる方は0.7、日常生活を営むには0.5を下回ると手術適応と言えます。
一方、そこまで視力が悪くない場合でも、生活に支障がでていれば、手術適応にはなります。しかし、あまり視力が良いうちに手術をすると、手術は問題なく、術後視力も良好にも関わらず
「思ったよりよくない」
「もっとよく見えるようになると思っていたのに」
などの不満が出ることが少なくありません。
白内障は基本的にゆっくりと進行します。そして、手遅れになって手術ができない、ということはほとんどありません。そのため、すでに白内障が相当進行している場合や、進行が急激な場合を除き、医学的に手術の緊急性は高くありません。
以上より、当院では、白内障手術はご本人のご希望があった時にやる、を原則としており、手術を強要することはありませんので、ご安心下さい。
白内障、緑内障ともに、加齢により増える疾患です。そのため、白内障手術を希望される方で、緑内障の治療もされていることがあります。
ほとんどの緑内障のタイプでは、通常の白内障手術と同じように手術できます。
ただし、閉塞隅角緑内障などの一部の緑内障のタイプでは、手術が難しいことがあります。また、手術後に眼圧が高くなり、眼圧のコントロールに苦慮することもあります。
一方、手術後の視力ですが、予測が難しいことがあります。
白内障手術をしても、緑内障が治るわけではないため、緑内障による視力視野障害は残ります。そのため、緑内障の状態により、手術後の視力が変わってきます。
緑内障が軽度の場合は、手術後比較的良好な視力が期待できます。
一方、緑内障が重度の場合、手術をしても視力が改善しないこともあります。
ただし、白内障と緑内障が両方ある場合、どちらがどれくらい視力に影響しているかを正確に判断するのは困難です。
そのため、緑内障のある方の白内障手術において、
『手術後、どれくらい見えるようになりますか?』
という質問に対しては、
『いまよりよくなることを期待しているが、どれくらいよくなるかはやってみないとわからない』
というお答えとなります。
ご理解の程、よろしくお願い致します。
「白内障手術は痛くないですか?」
「麻酔はどうやってするのですか?」
などのご質問をよく頂きます。
今回は、白内障手術時の麻酔についてのお話です。
当院では、「めぐすりの麻酔」で行っております。
めぐすりのメリットは、麻酔薬の体内への移行量が微量なため、全身への副作用がきわめて少ないことです。また、時間も手間もかかりません。
痛みに関しては、ほとんどの方は痛くなかったと言われます。しかし、たまに痛かったと言われる方もいます。ただし、当院で痛みにより手術を中断した方は今のところいません。
一方、手術はベッド上でじっとしている必要があります。しかし、認知症や体の震えなどにより、じっとしていられない場合、局所麻酔での手術は困難です。そのような方には全身麻酔が必要となります。当院では全身麻酔はできないため、大学病院などの施設へご紹介します。
しかし、全身麻酔は入院が必要な上、全身麻酔自体のリスクを伴います。そのため、通常は局所麻酔で手術することを前提としています。
ちなみに、局所麻酔はめぐすりのほかに注射もあります。
白内障以外のほとんど手術は注射で行います。
注射はめぐすりと比べると、より長くより痛みが取れます。
一方、注射のために白目を切るなど時間がかかり(1分程度ですが)、注射自体がちょっと痛い、というデメリットがあります。
院長が医者になった20年前は、白内障手術も全例注射をしていました。その後、技術や機器が進歩し、手術時間が短縮されたことで、注射は必要なくなっていきました。そして、10年ほど前より、めぐすりのみで手術を行うようになりました。
白内障手術と年齢についてのお話です。
「白内障手術は何歳までできますか?」
「白内障手術は早い方がよいですか?」
という質問がよくあります。
まず結論ですが、白内障手術に年齢制限はないです。
当院で白内障手術した最高年齢は94歳です。また、院長自身は、以前勤務していた病院で99歳の方を手術した経験があります。共に、術後問題ありませんでした。
100歳以上の方の手術は経験がないのですが、100歳以上で、手術希望がある方や適応になる方は滅多にないかと思います。
一方、全身状態が悪く、
・自力で歩行できないため通院が困難
・横になってじっとしていられない
・座位が保てず、検査ができない
などがあると手術は困難です。
そのため、白内障手術は、年齢より全身状態のほうが重要です。
次に、白内障手術は早い方がいいか?という質問ですが、こちらは、正確に答えるのがなかなか難しいです。
白内障が進行すると手術が難しくなることがあります。また、全身状態が悪くなると、上記のために手術ができなくなることもあります。
一方、手術結果は、手術した時期に関わらずほとんど変わりないです。
そのため、白内障手術は目の状況や年齢を含めた全身状態により、やるべき時期が変わってきます。
当院では、手術を強要するようなことはありませんので(最後の一押しが欲しい方には物足りないかもしれませんが)白内障手術の時期につき、迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。