高齢者では、白内障により視力が低下してしまいます。
さらに、視力低下だけでなく、さまざまな全身への影響が大きいことが分かってきました。
高齢者の大規模眼科疫学調査より、70歳以上の視力良好群(0.7以上)と視力不良群(0.7未満)に分けて認知症の発症率を比較しました。すると、視力良好群では、認知症が5.1%でしたが、視力不良群では、認知症が13.3%と有意に多く、視力が悪いほど認知症が増えていました。
視力不良群では、認知症のリスクが2.9倍高かったのです。
さらに、白内障手術既往群と非手術群の2群間で分析したところ、白内障手術で認知機能障害のリスクが2割程度防げることがわかりました。
白内障手術で、認知症のすべてが解決できるわけではありません。一方で、認知症が進行しすぎると、手術後の目薬などの管理が困難となるため、手術ができないことも少なくありません。
白内障による視力低下のため、活動範囲が狭くなりつつある方がご家族にいる場合、手術を検討してもよいかもしれません。
白内障手術では、目の周りを消毒するため、手術を受けられる方はマスクを着用することができません。
そのため、手術時は、外来診療以上に、新型コロナウイルス感染対策に気を使っています。
スタッフは全員、マスク・ゴーグル・フェイスシールド・手袋を着用しています。
しかし、院長は、ゴーグルやフェイスシールドが曇ると手術ができなくなるため、これらの装備を着用できません。通常使用しているサージカルマスクでは不十分と考えているため、N95マスクという、コロナ病棟などで使用されている特殊マスクを使用しています。N95マスクは、実験上新型コロナウイルスもほぼ通すことがないことが証明されています。
オペ室は、目の感染を防ぐため、クリーンルームとなっていて、常時換気も行っています。また、手術中は、ドレープという清潔な布を顔全体に覆うため、感染の心配はありません。
以上より、白内障手術における新型コロナウイルスの感染リスクはかなり低いと考えられます。
そのため、安心して手術を受けて頂けるかと存じます。
本日をもって、今年の手術がすべて終了しました。
今年もトラブルもなく、無事にすべての手術を終えることができました。
これも、患者さまのご協力と優秀なスタッフのおかげです。
改めて感謝申し上げます。
来年よりよい手術ができるように、年末はオペ室の整備や手術機器のメンテナンスなどを行ってまいります。
ちなみに今日時点では、手術の予約は1月下旬以降となっております。
よろしくお願い申し上げます。
年内の白内障手術の予約を終了しました。
来年は、1月7日より手術を行います。
現時点では、まだ1月以降の予約枠は、比較的空きがあります。
しかし、例年冬休み前後は手術ができない分、年明けの手術は埋まりやすい傾向にあります。
年明けすぐに手術をご希望の場合は、早めに受診の上、予約されるとよろしいかと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
白内障手術は、安全性が高く、手術でトラブルが起きることはめったにありません。
そして、手術後の満足度は、全体的にかなり高いです。しかし、たまに手術は問題ないにもかかわらず、術後に不満を感じる方もいらっしゃいます。
今回は、白内障手術を満足する人としない人につき、取り上げます。
例えば、手術前はほぼ失明状態だった目が、手術後に視力(1.0)ともなれば、確実に大変喜ばれます。
手術後に満足される人のポイントは
①術前視力が悪い(白内障がある程度進行している)
②術後視力が良好(白内障以外に病気がない)
の2点となります。
そうすると、手術後に不満足となる人のポイントは逆で、
①術前視力が良好(白内障があまりない)
②術後視力が不良(白内障以外に病気がある)
のどちらか1点でも当てはまると、不満足となりがちです。
そのため、当院では、視力が比較的良好な早期の白内障に対しては、あまり手術を勧めていいないです。また、白内障以外に病気があり、明らかに手術をしても視力改善が期待できない方にも、手術は勧めていません。
とは言え、視力低下が、白内障が原因か、その他の病気が原因か、自己判断は困難です。
白内障手術をするかどうか迷ったら、ご相談ください。
当院では、外来診療から手術、そして術後の診療まで、一貫して院長がひとりで責任を持って行っています。
病院によっては、外来と手術を別の医師が担当しているところも結構あります。
信じられない話ですが、手術当日に手術担当医師に初めて会う、なんてところも中にはあります。
このような病院で手術を受けるのは心配ですね。
その点当院では、院長がすべて行っているので、そのような心配ありません。
その代わり、一人で外来と手術を同時にできないため、手術日である月曜木曜午後は、外来はお休みしています。
ご不便お掛けして、申し訳ございません。
白内障の治療は、目薬と手術の2つになります。
目薬は、進行を遅くすることが目的となります。残念ながら、白内障の改善や進行を止めることはできません。
そして、最終的に白内障の改善には手術が必要となります。
白内障が軽度の場合は、目薬を使用し、その後白内障が進行してきたときに手術をする、というのが一般的です。しかし、目薬が面倒で、手術することがイヤでなければ、目薬をせずに、白内障が進行したら手術、という形でも問題ありません。
一方、すでに白内障が進行してしまった場合には、目薬をしても効果は限定的なので、早めに手術を検討することになります。
白内障は水晶体という目のレンズにあたる部分が白くにごる病気です。
白内障の症状は、
『かすむ』『ぼやける』『なんとなく見えにくい』『白ぽく見える』など、表現の仕方は個人差がありますが、一言で言えば
『視力低下』
となります。
白内障は全体的ににごるため、視野全体がぼんやりと見えにくくなります。そのため、『視野の一部分だけ見えにくい』という症状は、緑内障や黄斑変性など、白内障以外の病気を疑います。
白内障は短期的にはほとんど変化しないため、症状が短期間で変化することはあまりありません。
朝だけ見にくい、日によって見えにくい日がある、などは、白内障以外の病気を疑います。
また、白内障の特に初期に、
『まぶしい』
という症状を感じることがあります。これは、白内障の部分に光が乱反射するためです。
今回は、白内障手術時に、目の中に挿入する眼内レンズの写真です。
真ん中は5ミリ程度の円形。
そこに腕のような形のものが二本付いている、独特の形をしています。
全体でも1センチくらいの大きさです。
これを畳んで挿入しています。