昔は、水晶体をまるごと取り除いておりました。水晶体は、直径10ミリ程度あります。そのため、切開創は、水晶体より少し大きい12ミリくらいが必要でした。
12ミリというと、黒目と白目の境目を上半分切るイメージです。
その後、超音波乳化吸引術という画期的な技術が登場しました。これは、水晶体を超音波で砕き、小さくした水晶体を吸い取る、というものです。この機器の登場により、切開創を大幅に小さくすることが可能となりました。
すると、次は眼内レンズが切開創の律速段階となりました。
眼内レンズは、直径6ミリ程度あります。これをそのまま入れようとすると、切開創は6.5ミリくらい必要でした。
そんな中、二つに折りたたんで入れることができるという、画期的な眼内レンズが登場しました。これにより、切開創は4ミリで可能となりました。
さらに、インジェクターが登場しました。
これにより、筒状の入れ物に眼内レンズを折りたたんだ状態で入れることが可能となりました。さらに、インジェクターが進化し、いまでは2ミリくらいの切開創で手術可能となりました。
切開創が小さくなったことで、『自己閉鎖』と言って、切開創が自然に閉鎖するようになりました。そのため、切開創を糸で縫う必要がなくなったことが、革命的でした。
これにより、手術時間が大幅に短縮しました。また、糸による手術後の痛みもなくなりました。
さらに、術後の視力回復も格段に早くなり、多くの方は手術翌日からベストに近い状態まで視力が出るようになりました。
まさにいいことばかりです。
超音波乳化吸引とインジェクターを開発した人たちに感謝しながら、手術をする今日この頃です。
今日は梅島駅前すぐのところにある喫茶店
『珈琲 茶居留都』
で、朝からモーニングカレーセット 600円
いわゆる街の古き良き喫茶店
大きなピンクのスヌーピーもいます
手術当日は、午後1時40分までに受診していただきます。
手術の準備として、目薬とキャップの着用を行います。その後、順番で手術を行います。
手術の順番は、目の状態などから、事前にこちらで決めさせていただいております。
手術時間は、10分程度です。ただし、手術の準備と片付けがあるため、手術室での滞在時間は20分程度です。
手術後は、会計して終了となります。
安全な準備のため、手術の方は同時刻にご来院頂いております。最後の方で、3時半頃に手術終了予定です。しかし、場合により終了時刻が遅れることがあります。
予めご了承ください。
白内障手術を希望の場合、手術までに4回の受診が必要となります。
① 外来受診
普通に外来に受診して頂き、診察をした上で、手術が決定となります。
② 『日程決定』
手術日を決定します。手術は月・木午後となります。
手術時に挿入する眼内レンズの度数を決定する検査などを行います。
③ 手術の詳細な説明など
手術についてさらに細かな説明もしていきます。
④ 術前点眼内服の処方
手術前後に必要な目薬などのお薬を処方します。
また、手術前後の生活面での注意点などにつき、説明します。
電話での手術の予約はできません。
1回目の受診から手術まで、1~2か月となります。そのため、手術を希望する時期がありましたら、余裕をもって2か月ほど前に受診して頂くとよいかと存じます。
ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。
糖尿病は白内障を悪化させる要因の一つとされています。
実際、糖尿病がある方で、白内障の進行が早い方は多いです。ただし、白内障は加齢性変化のため、特に60歳以上の方の場合、白内障の進行が糖尿病のためか年齢のためか、鑑別することは困難です。
白内障手術が可能かどうかを判断するために、眼科ではHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)という数値を主に参考にします。
外科などでは、
『A1Cが7.5%以下であれば手術は可能』
とされています。そのため、眼科でもこの基準を満たせば、白内障手術は可能と判断できます。
一方、A1Cが7.5以上の場合でも、白内障手術は低侵襲のため手術は可能とも言われています。
しかし、血糖値が高いと、手術後に糖尿病網膜症の悪化、感染や炎症の増悪などのリスクが高くなります。
そのため、糖尿病が改善する見込みがあり、白内障手術を急ぐ必要がない場合は、まず糖尿病のコントロールをしっかりとしてから、手術を行うのがベストです。
しかし、「白内障で視力が非常に悪く、日常生活がすでに困難」「今後も糖尿病が改善する可能性が低い」などの理由から、手術を先延ばしすることが難しいことも少なくありません。その場合、糖尿病のコントロールがあまりよくない状態でも、そのまま手術を行うこともあります。
ただし、手術のリスクが高いことを理解していただく必要があります。
いずれにせよ、日頃から、しっかりと糖尿病をコントロールしておくことが大切です。
白内障手術はどの季節がいいですか?という質問をよくいただきます。
特に夏は、暑くて汗もかき、紫外線も強いため、大丈夫か心配される方が多いです。
結論から言いますと、白内障手術の術後成績は、どの季節でも変わりません。
ただし、手術後1週間程度は、感染予防のため洗顔洗髪ができなくなります。汗をかく夏は、より苦痛かもしれません。
また、手術後は視力が改善する分、まぶしく感じることがあります。夏は紫外線が強いため、よりまぶしく感じるかもしれません。紫外線が手術後に直接影響するわけではありませんが、サングラスやUVカットの眼鏡を使用したほうが楽かもしれません。
以上より、夏の手術は問題ないのですが、実際夏の手術は人気がなく、手術件数は減少するのが一般的です。
そのため、早めに手術を希望の場合は、むしろねらい目かもしれません。
今日はよしだ眼科から大通りを渡ってすぐの
蕎麦屋『深川』の『鴨せいろそば』
鴨が分厚いけど、硬すぎずちょうど良い歯応え。
また、鴨特有の甘みが、お汁に深みを与えてくれます。
たまに無性に食べたくなるご褒美らんちです。
今回は、白内障手術 日帰りVS入院 のお話です。
まず、当院では入院施設がないため、日帰りのみとなっています。
院長が以前勤務していた病院には入院施設があり、件数は日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明します。
まず、手術結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院は必要ないと考えております。
日帰りと入院の違いは、手術した日に家に帰るか、病院に泊まるか、の違いとなります。
日帰りのメリットは、入院に伴う余計な手間が必要ないことです。
外来と同じように受診し、手術をして、ご帰宅できます。
一方入院すると、手続きや泊まるための荷物の準備など、手術前の準備として、やるべきことがたくさんあります。さらに、初めての病院で緊張したり、ごはんが口にあわなかったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないなど、様々な問題が生じる可能性があります。
また高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になり、認知症が進行することがあります。
日帰りでは、慣れた家に帰れるため、それらの心配はありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。
ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはほとんどありません。しかも、入院施設でも夜間に眼科ドクターが常駐しているわけではないので、即時対応ができるところは少なく、結局は翌朝診察してからの対応となることがほとんどです。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。
白内障手術と年齢についてのお話です。
結論ですが、白内障手術に年齢制限はないです。
当院で白内障手術した最高年齢は94歳です。また、院長自身は、以前勤務していた病院で99歳の方を手術した経験があります。共に、術後問題ありませんでした。
100歳以上の方は、手術した経験がありません(そもそも外来に100歳以上の方は滅多に受診されませんので・・・)
一方、下記の場合、手術が難しくなります。
・白内障が極端に進行している
・全身状態が悪い
・自力で歩行できないため通院が困難
・腰痛などのため横になってじっとしていられない
・座位が保てず、検査ができない
・コミュニケーションが取れない
これらがあると、年齢に関わらず、手術は困難です。
目の状況や全身状態は個人差が大きいため、それぞれで手術をやるべきタイミングは変わってきます。
当院では、手術を強要するようなことはありませんので(最後の一押しが欲しい方には物足りないかもしれませんが)白内障手術の時期につき、迷うことがあれば、お気軽にご相談ください。
白内障、緑内障ともに、加齢により増える疾患です。そのため、白内障手術を希望される方で、緑内障と診断・治療されている方も少なくありません。
ほとんどの緑内障のタイプでは、通常の白内障手術と同じように手術できます。
ただし、閉塞隅角緑内障などの一部の緑内障のタイプでは、手術が難しいことがあります。また、手術後に眼圧が高くなり、眼圧のコントロールに苦慮することもあります。
一方、手術後の視力ですが、緑内障の方は予測が難しいのが特徴です。
白内障手術をしても、緑内障が治るわけではないため、緑内障による視力視野障害は残ります。そのため、緑内障の状態により、手術後の視力が変わってきます。
緑内障が軽度の場合は、手術後比較的良好な視力が期待できます。
一方、緑内障が重度の場合や、中心視野に異常がある場合、手術をしても視力が改善しないこともあります。
ただし、白内障と緑内障が両方ある場合、どちらがどれくらい視力に影響しているかを正確に把握することは困難です。
そのため、緑内障のある方の白内障手術において、
『手術後、どれくらい見えるようになりますか?』
という質問に対しては、
『いまよりよくなることを期待しているが、どれくらいよくなるかはやってみないとわからない』
というあいまいなお答えとなってしまいます。