今回は、白内障手術 日帰りVS入院 のお話です。
まず、当院では入院施設がないため、日帰りのみとなっています。
院長が以前勤務していた病院には入院施設があり、件数は日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明します。
まず、手術結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院は必要ないと考えております。
日帰りと入院の違いは、手術した日に家に帰るか、病院に泊まるか、の違いとなります。
日帰りのメリットは、余計な手間が必要ないことです。
外来と同じように受診し、手術をして、ご帰宅できます。
一方入院すると、手続きや泊まるための荷物の準備など、やるべきことがたくさんあります。さらに、初めての病院で緊張したり、ごはんが口にあわなかったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないなど、様々な問題が生じる可能性があります。
また高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になり、認知症が進行することがあります。
日帰りでは、慣れた家に帰れるため、それらの心配はありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。
ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはほとんどありません。しかも、入院施設でも夜間に眼科ドクターが常駐しているわけではないので、即時対応ができるところは少なく、結局は翌朝診察してからの対応となることがほとんどです。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。
手術当日は、午後1時40分までに受診していただきます。
手術の準備として、目薬とキャップの着用を行います。その後、順番で手術を行います。
手術の順番は、目の状態などから、事前にこちらで決めさせていただいております。
手術時間は、10分程度です。ただし、手術の準備と片付けがあるため、手術室での滞在時間は20分程度です。
手術後は、会計して終了となります。
安全な準備のため、手術の方は同時刻にご来院頂いております。最後の方で、3時半頃に手術終了予定です。しかし、場合により終了時刻が遅れることがあります。
予めご了承ください。
白内障手術では、目の周りを消毒するため、患者さんは手術時にマスクの着用ができません。
そのため、手術時は、外来診療以上に、新型コロナウイルス感染対策を強化しております。
スタッフは全員、マスク着用しています。
また、手術日は手術を受ける人とその家族しかいないので、普段の外来と違って、待合室は空いております。もちろん、他の患者さんや家族にもマスク着用をしてもらいます。
オペ室は、目の感染を防ぐため、もともとクリーンルームとなっています。常時特殊なフィルター下で換気されているので、チリやほこりすら、ほとんどありません。また、手術中は、ドレープという目の部分だけ穴の開いた特殊な布を顔全体に覆います。そのため、手術中の感染リスクはほとんどありません。
以上より、白内障手術における新型コロナウイルスの感染リスクはかなり低いため、安心して手術を受けていただけると考えております。
普通免許の更新には、両目で矯正視力0.7以上が必要となります。
白内障手術は、ごくまれですが、合併症により視力が低下することもあり、視力の改善を保障することはできません。
そのため、手術後に運転免許が更新できること自体、お約束ができません。
手術が無事終了した場合ですが、手術翌日からすぐに視力が出ることも多いですが、視力回復に術後1~2週間程度を要することもあります。また、手術後に度数が変化するため、眼鏡を新しく作成する必要が生じることもあります。
結論としては、手術後に運転ができるどうか、そして、いつから可能かは、手術をやってみなければわかりません。
念のため、手術後は運転を控えて頂いたほうがよいかと存じます。
白内障手術をした直後はよく見えていたけど、数年して視力がまた低下した、という方がいます。
白内障手術に関連する原因として、『後発白内障』があります。
水晶体は、『嚢』という透明の袋で包まれています。白内障手術は、嚢を残して、中味の濁った水晶体を取り除き、残った嚢に眼内レンズを挿入します。
嚢は、最初は透明ですが、時間が経つと、白くにごってしまうことがあります。これが後発白内障です。
症状は、白内障と同様に視力低下が生じます。
こちらは、レーザー治療の適応となります。レーザー治療は外来にて5分程度で可能です。
それ他、白内障とは関係のない病気の発症が原因となることがあります。
白内障手術を要する方は高齢者が多いため、加齢性黄斑変性、緑内障、網膜静脈閉塞症、黄斑前膜など、様々な目の病気を発症する恐れがあります。
そのため、白内障手術が無事終了し、経過良好でも、定期的な診察は続けておいた方がよいかと存じます。
当院では、感染対策のため手術後に眼帯をします。
最近では、眼帯をしない施設も増えてきています。しかし、当院では80歳以上の方も多く、不意に目を触ってしまう可能性などを危惧して、眼帯を続けております。
眼帯は、手術翌日の診察時に外します。その後、眼帯は必要ありません。また、当院では保護用ゴーグルも使用しておりません。
眼帯のため、手術当日と翌日は片目となります。片目だと立体感がわかりにくいため、転倒などに注意が必要です。特に、手術しない方の目が視力不良の場合、通院や生活に支障がでるため、事前に家族の方などに付き添いをお願いして頂ければ幸いです。
よろしくお願い申し上げます。
手術後に大量の汗が目に入ると、傷口から汗とともに菌が入り込み、感染のリスクが高まります。また、極端に重い物を持ったり、こすったりすると、傷口が開いてしまう恐れがあります。
そのため、手術後1か月間は、激しい運動やウエイトトレーニングは禁止となります。
一方、日常生活レベルのウォーキングやストレッチなどは、手術翌日から可能です。
汗もほとんどかかず、力もそれほど入れない軽い運動は手術後1週間程度で可能です。
ただし、どの程度の運動が軽いか激しいかは、元の体力など個人差が大きいため、判断が難しい場合が多いです。
手術後は無理をせずに、のんびりと過ごしていただくことをオススメします。
手術後に目に大量の水が入ると、傷口から水と一緒に菌が目の中に入り込み、感染を起こすリスクが高まります。
万が一術後の感染を起こすと、重篤な視力障害を生じるため、なんとしても避けたいところです。
特にプールは、感染リスクの高い行為となります。
そこで、手術後のプールは1か月間禁止となります。
その間は、ウォーキングなどの運動で代用して頂ければと存じます。
よろしくお願い申し上げます。
【答え】
『まぶしさが強くて、サングラスをしたほうが楽であれば使用してもいいですし、必要を感じなければ使用しなくてもよい』
【解説】
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、きれいな眼内レンズを挿入します。濁りを取り除くことで光が入る量が増加し、視力が改善することが期待されます。
一方で、光が入る量が増えることで、『まぶしい』と感じる方もいらっしゃいます。
特に夏場や運転中に強くまぶしさを感じることが多いです。
まぶしさへの対策としては、サングラスやUVカットの眼鏡などが有効です。
また、日光は加齢性黄斑変性症や翼状片などの、他の目の病気の悪化要因とされています。そのため、それらの病気の予防効果も期待されます。ただし、長時間屋外で過ごすわけでなければ、それほど気にしなくてもよいレベルかと思います。
というわけで、白内障手術後にまぶしさを強く感じて、生活に支障を生じる場合にはサングラスやUVカットの眼鏡の使用を検討していただき、特に不便がなければ、必ずしも使用する必要はありません。
白内障手術を希望の場合、手術までに4回の受診が必要となります。
①初診
外来に受診して頂き、診察で目の状態を確認した上で、手術が決定となります。
②『日程決定』
手術日などを決定します。手術は月・木午後となります。
③『術前検査』
手術時に挿入する眼内レンズの度数を決定する検査など、手術に必要な検査を行います。また、手術についてさらに細かな説明もしていきます。
④『術前説明』
手術前後に必要な目薬などのお薬を処方します。また、手術前後の生活面での注意点などにつき、説明します。
電話での手術の予約はできません。
1回目の受診から手術まで、1~2か月となります。そのため、手術を希望する時期がありましたら、余裕をもって2か月ほど前に受診して頂くとよいかと存じます。
ご理解とご協力の程、よろしくお願い申し上げます。