白内障手術後は、いくつか生活制限があります。
今回は、特に質問の多い
『洗髪洗髪、運動水泳、運転』
について説明していきます。
手術後の一番の懸念事項は術後感染症です。
頻度は非常に低いのですが、起きると重篤な視力障害が生じる恐れがあります。
感染症予防に、水が眼内に入るのを防ぐ必要があります。
そのため、手術後四日間程度、洗顔洗髪ができません。
洗顔のかわりに、汗拭きシートや絞ったタオルなどをご利用ください。
洗髪は、美容院で上向きの状態で洗うのは可能です。(理容室は下向きなのでダメです)また、水のいらないシャンプーは可能です。(薬局に売ってます)
水泳は、目に水が入るため、1ヶ月は禁止です。
運動ですが、ウォーキング、ストレッチなどの軽い負荷なら、一週間で可能です。
一方、汗だくになるような激しい運動、力一杯に重いものを持ち上げるなどの負荷の大きい運動は、水泳と同じく1ヶ月程度控えた方がよいです。
運転は、術後視力の出方により異なります。
手術翌日から良好な視力が出る方々多いです。その場合、翌日から運転は可能ですが、見え方に慣れるまで、生活をしながら少し様子をみた方が安全です。
また、見え方に視力回復に一、二週間かかる場合もあります。また、眼鏡を合わせ直す必要があります。その場合、運転が出来るまで、少しお時間がかかります。
以上より、運動はいつから可能か、個人差が大きいため、念のため手術後しばらくは運転するご用事は入れないのが無難です。
一方、テレビやパソコン、スマホを見るなどの、目を使う作業は翌日から可能です。
その他に関しては、基本的に制限はないのでますが、こちらの想定していないこともあるかもしれませんので、手術が決まった際に質問して頂ければと存じます。
「白内障手術のとき、付き添いは必要ですか?」
という質問をよく頂きます。
今回は、こちらにつき説明していきます。
当院では、白内障手術後は眼帯をしています。眼帯は翌朝診察し、問題なければ眼帯は外れます。そのため、手術後の帰り道と、翌日の通院時は片目となります。
片目だと立体感が取りにくく、見えにくいなど不便を感じることも少なくありません。
家が近所で、片目でも歩行が問題なければ、付き添いなしで、お一人でも可能です。
一方、遠方の方、片目で不便を感じる方、転倒など心配な方は、お付き添いがいた方が安心です。
また、片目だと不便だけど付き添いできる人がいない、という方は、タクシーを利用する方法もあります。
手術終了後、こちらでタクシーを手配します。
お気軽にご相談下さい。
現在、白内障手術待機期間は1か月ちょっととなっております。
現時点では、手術の予約は一番早くて3月上旬となっております。
ゴールデンウイークがあり、4月下旬から5月上旬は手術ができないため、4月以降は手術が混雑することが予想されます。手術をご希望の方は、お早めにどうぞ。
白内障手術に関して
「手術は痛くないですか?」
「麻酔はどうやってするのですか?」
などのご質問をよく頂きます。そのため、今回は白内障手術における麻酔についてのお話です。
当院では、全例で白内障手術はめぐすりによる麻酔のみで行っております。
めぐすりのメリットは、麻酔薬の体内への移行量が微量なため、全身への副作用がきわめて少ないことです。また、時間もほとんどかかりません。
痛みに関しては、ほとんどの方は痛くなかったと言われます。しかし、たまに痛かったと言われる方もいます。
しかし、当院で痛みにより手術を中断した方は今のところいません。
一方、手術はベッド上でじっとしている必要があります。しかし、認知症や体の震えなどにより、じっとしていられない場合、局所麻酔での手術は困難です。そのような方には全身麻酔が必要となります。
全身麻酔では意識がないため、痛みはまったく感じません。しかし、入院が必要な上、全身麻酔自体にリスクを伴います。
全身麻酔は当院のようなクリニックではできないため、大学病院などの施設へご紹介します。
ちなみに、局所麻酔はめぐすりのほかに注射もあります。
白内障以外のほとんど手術は注射で行います。
注射はめぐすりと比べると、より長くより痛みが取れます。
一方、時間が余計にかかり、注射自体がちょっと痛い、というデメリットがあります。
院長が医者になった20年前は、注射が一般的で、全例注射をしていました。その後、技術や機器が進歩し、手術時間が短縮されたことで、注射のメリットがあまりなくなっていました。
そのため、10年ほど前より、めぐすりのみで手術を行うようになりました。
手術が痛いのでは、と心配される方が多くいらっしゃいますが、手術中強い光を当てるため、むしろまぶしい、のほうがつらいかもしれません。
白内障手術のおいて、日帰りと入院の違いや、どちらがよいのか、などの質問をよくいただきます。
よしだ眼科は入院施設がないため、日帰り手術のみです。
前の病院では、入院施設があり、日帰りと入院がちょうど半分半分くらいでした。
それらの経験を踏まえて、今回は日帰りと入院のメリット・デメリットなどにつき、説明してみます。
まず、手術の結果ですが、どちらも変わりありません。
そのため、医学的には白内障手術に入院の必要性はないと考えております。
日帰りのメリットは、余計な手間が必要ないことです。
私も以前、別件で自分が患者として入院・手術しましたが、事前に色々な手続きをしたり、行ったこともない病棟で不安になったり、隣の人のいびきがうるさくて寝れないかったりと、入院生活はあまり楽しいものではありませんでした。日帰りでは、入院に伴う問題がありません。
また、高齢者ですと、入院により生活環境が変わることで、精神状態が不安定になったり、認知症が進行したりすることがあります。日帰りでは、慣れたおうちで寝れるので、その心配がありません。
一方、入院のメリットは、手術前後の通院の必要がないことです。術後、眼帯をするため、片目になってしまいます。そのため、家が遠い、足が悪い、反対目が視力不良など、通院が困難な方に有用です。
また、夜中に痛みなど何かあったときの安心感があります。ただし、白内障手術は痛みが出ることは少なく、夜間に緊急処置が必要となることはごくまれです。当院では手術500件以上行っていますが、そのような案件は一度もありませんでした。
入院施設でも、夜間にオペ室が稼働できないところや、眼科医が常駐していないところも多く、結局は翌朝診察してからの対応となります。
というわけで、白内障手術は、まずは日帰りで手術することを前提として、様々な理由により日帰りでは難しい場合に、入院施設で行うことを検討する、という流れで検討いただければよいのではと考えております。
前回、白内障によりブルーライトが透過できなくなると、睡眠障害や精神疾患を引き起こすことがあること、そして、白内障手術により、それらが改善される可能性があること、という内容でした。
当院でも、これに該当するような症例があったので、紹介します。
その方は、視力が両目とも0.1未満と、非常に強い視力障害がありました。
また、全身状態もあまりよくありませんでした。内科では入院が必要と言われていましたが、精神的な問題などもあり、入院もできない、という状態でした。
通院時は車いすでしたが、自力での移動は困難で、家族に車いすを押されて移動していました。そのため、検査時にイスへ移動するだけでも大仕事でした。
入院ができないため、日帰り手術が可能な当院での手術を希望されました。全身状態的に、当院よりも全身状態の管理のできる大学などのほうがよいのでは、ともお話しましたが、遠方への通院自体も困難であるとのことで、当院で手術を行うことになりました。
幸い、両目とも手術は無事に終わり、視力も大幅に改善されました。
すると、なんということでしょう。
普通に歩いて受診するようになっていました!!!
イスへの移動もなんの問題ありません。
主観的な印象ですが、表情も明るくなり、口数も多くなりました。ご家族の方も、まるで別人のようだ、と喜んでおられました。
これらの件より、白内障手術の効果につき、改めて考える機会となりました。
ただし、白内障手術は視力回復が目的で、睡眠障害や精神疾患が必ずしも改善するわけではないので、あくまでも付加的要素となりますので、過度な期待は禁物です。
先日、母校の慶應義塾大学眼科学教室創設100年記念講演会に行ってきました。
そこで、坪田教授の講演が興味深かったので、こちらに紹介します。
スマホやパソコンなどから発するブルーライトの害について、最近なにかと話題になっています。
ブルーライトは、もともと太陽の光に含まれていて、朝に太陽を浴びて目が覚め、夜暗くなると眠くなる、という人間の体内時計に影響すると言われています。しかし、スマホの画面などを夜遅くまで見ていると、脳が昼間だ、と勘違いして、その後なかなか寝付けないなどの睡眠障害が起こるとされています。
そのため、最近ではブルーライトはすっかり悪役にされ、眼鏡でカットすべきものと認識されています。
しかし、ブルーライトは、本来日中は必要なもので、日中浴びないと、逆に体内時計が狂う可能性があります。
白内障のある目だと、ブルーライトを一日中カットしてしまいます。それにより、睡眠障害が生じる可能性が示唆されています。
また、気分にも影響がでて、うつなどの精神疾患が生じることもあるそうです。
晴れた日は気分がよくなりますし、雨の日が続くと、なんとなく気分が落ち込む、というのは、誰でも経験があるのではないでしょうか。
白内障手術をすると、視力回復だけでなく、睡眠障害や気分の改善などの効果が期待される、ということでした。
実際、白内障手術をした方で、表情が明るくなったり、活動的になったりする方がいらっしゃいます。いままでは、視力が改善したからそうなるのかな、と漠然と考えていましたが、ブルーライトの影響もあるのかもしれません。
『難しい白内障手術の話』シリーズ第四弾
緑内障のある眼の白内障手術の話。
白内障、緑内障ともに、加齢により増える疾患です。そのため、白内障に加えて、緑内障も合併している方が結構います。
「緑内障があっても、白内障手術は可能ですか?」
という質問をよく頂きます。
結論から言うと、手術は可能です。
白内障手術の難易度については、緑内障のタイプにより、変わります。
多くのタイプでは、難易度は変わりません。
しかし、緑内障発作後や閉塞隅角緑内障、眼圧が極端に高い症例では、手術が困難だったり、術後の眼圧のコントロールが難しいことがあります。
一方、術後の満足度については、緑内障による視野不良の症例では予測が困難です。
術前、視力・視野とも同じような症例に手術をしたとします。手術も問題なく終わり、術後、良好な視力が出たとしても、
「良くなった」
と満足される方がいる一方、緑内障による視野不良により、
「あまり変わらない」
とがっかりされる方もいます。
これは、手術前の視力低下が、白内障メインか、緑内障メインか、に影響されます。
この辺りは、通院し、緑内障治療を続けていくことで、ある程度は把握することが可能です。
そのため、緑内障治療中で、白内障のある方は
「手術がいますぐに必要」
となる一歩前に、一度白内障手術について相談しておくとよいかと存じます。
秋になり、涼しくなったおかげか、白内障手術の御用命をたくさん頂いております。そして、11月の手術予約枠がいっぱいとなりました。
今、白内障手術を申し込まれると、予約は12月以降となります。また、年末のため、手術日は12月19日で終了となります。
そのため、年内の予約枠は数に限りがございます。年内の手術を希望の方は、早めに受診の上、手術を決定されるとよいかと存じます。
なお、電話での手術の予約は一切行なっておりませんので、ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。
『難しい白内障手術の話』シリーズ第三弾
強度近視の片目の白内障手術について
白内障手術では、手術の時に目の中に移植する眼内レンズの度数を調整することにより、近視を軽減することができます。特に近視が強い強度近視の方では、近視矯正としてのメリットも大きく、白内障自体よりも、むしろ近視矯正に対して喜ばれることが多いくらいです。
しかし、強度近視で、片目のみ白内障が進行している場合、片目のみ手術をして近視を軽減させると、手術しないほうの目と度数のバランスが非常に悪くなってしまいます。
反対目に少しでも白内障があれば、両目手術すると、手術後左右の度数のバランスがとりやすく、わかりやすいのです。しかし、まったく視力低下のない目に手術するのには抵抗があります。その場合、片目のみ手術をすることになります。
手術後は、術後の状態や手術前からの生活スタイルに合わせて、眼鏡やコンタクトで調整します。どうしても左右のバランスに慣れなければ、反対目も早めに手術することもあります。
理論的にはかなりの不便がでそうに思えますが、不思議となんとなく大丈夫な方が多いように感じます。強度近視に加え、白内障も出たことで、手術前から強い視力障害があり、また左右のバランスもそもそも悪かったため、マイナスに感じにくいのかもしれません。
しかし、これはかなり個人差が大きいですので、手術のタイミングを慎重に検討し、手術をする際には、手術のメリットとデメリットをよく理解しておく必要があります。